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2019.06.11

医薬品業界の自動化はなぜ難しい? バイオロボットの活用事例に注目!

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医薬品製造の作業者の負担を軽減し、人手不足を解消したいのですが、
正確性・安全性は絶対に軽視できません。自動化で両立は可能でしょうか?

医薬品業界では、特に厳しい衛生環境下で多くの手作業が残っているのが現状ですね。同時にヒューマンエラーの防止や、作業の完全性証明のための記録も強く求められています。自動化のニーズは高いものの、実現が難しいという状況にあるようです。今回はそうした医薬品業界の課題と、バイオメディカル用途ロボットを活用した自動化ソリューションを解説しましょう。

なぜ?医薬品業界では自動化が難しいとされる理由

多くの医薬品開発・製造現場では、分析や品質試験といった工程の自動化がなかなか進んでいません。この背景には、使用する機器の種類が多い上に、作業には熟練技が必要なこと、そもそも衛生管理下で使用できるロボットがなかったという理由があります。

こうした状況を改善するために、安川電機では衛生管理下で高精度な動きが可能なバイオメディカル用途向けロボットを開発し、医薬品の開発・製造、抗がん薬調製作業、各種菌検査などの分野で自動化の幅を広げています。

これらのロボットはアイソレータ(密閉性のあるキャビネット)や安全キャビネットなどの装置内への設置に適しており、コンパクトなスペースで作業の自動化や精度向上に貢献できるのも特長です。

安川電機のバイオメディカル用途ロボットの特長は?

写真(左から):MOTOMAN-MH3BMMOTOMAN-MH5BMMOTOMAN-BMIA10
MOTOMAN-BMDA5MOTOMAN-CSDA10F

安川電機のバイオメディカル用途ロボットには、単腕タイプと双碗タイプがあり、用途や可搬質量に応じて5機種をラインアップしています。共通する特長をご紹介しましょう。

1. 無菌環境でも稼働できる衛生環境対応設計

すべての機種で過酸化水素やUV照射による除染が可能です。また、クリーン環境にも対応したクリーンロボット(クリーン度ISOクラス5準拠)で、防じん・防滴構造も備えているため、クリーンベンチ内での粉体や液体を扱う作業の自動化に適用できます。

2. シンプル&コンパクトな設備を実現可能

単腕ロボットは小型・軽量設計が特長で、双碗ロボットも人と同等以下のコンパクトサイズのため、装置全体の小型化に貢献します。

3. 高精度な作業が可能で、熟練技を正確に再現

自動化のネックとされていた熟練者の手技を高精度に再現することができ、繰り返し作業においてもその精度を維持します。このためヒューマンエラーを限りなく防ぐことができます。

4. 各工程で正確な記録を残すことができる

医薬品業界では、万が一イレギュラーな事態が発生した際に、その事象を完全に再現できるよう作業過程や結果を記録しておく“データ完全性保証(データインテグリティ(DI))“が必要で、年々その管理が厳しくなっています。
安川電機が提供しているデジタルデータソリューション「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を活用することにより、各工程での動作ログなどを正確に記録しオンラインで管理できるようになるなど、DIの面からも期待されています。

安川電機のバイオメディカル用途ロボットには衛生面、サイズ、熟練技の再現など、医薬品開発・製造現場で自動化のネックとされてきた点をカバーする性能がそろっているんですね。

自動化に貢献!医薬品業界でのロボット活用事例

厳しい衛生管理が求められ、自動化が難しいとされてきた医薬品業界ですが、安川電機のバイオメディカルロボットはその特長を活かして様々な用途で活躍しています。その事例を見てみましょう。

・人の熟練技を完全再現!「生菌数試験システム」

「生菌数試験」とは、飲料などでは出荷試験として、医薬品では中間検査として、人の体内に直接入る製品の中に菌が含まれていないかを検査する重要な試験工程です。

現在でも多くの現場で人が検査をしていますが、人手による作業では人が持ち込んだ菌が誤検出されるというリスクがあります。また多くの検体を繰り返し扱う作業でもあるため、人への負担が大きく生菌数検査の自動化が強く望まれています。

安川電機が開発した生菌数試験システムでは、異物の付着を防止する滑らかボディ構造のMOTOMAN-MH5BMが活躍しています。人に起因するコンタミネーションを防ぎながら、人の熟練技を完全再現でき、高精度な自動化を実現できるシステムです。

動画で実際の動きを見てみましょう。人が熟練技を必要とするピンセットを使った繊細なフィルタの取り扱いを、ロボットが正確に再現しているのがご覧いただけます。

・人と同じ機器・装置を使用できる「分析前処理システム」

このシステムに採用されている双腕15軸ロボットの「LabDroidまほろ」は、これまで研究者が使ってきた機器、装置をそのまま使いながら実験を行うことが可能で、その高い再現性が評価されています。

複雑で煩雑な繰り返し作業も高精度に行うことができ、人手による調製サンプルのバラツキを防いでデータの信頼性を高めます。また、全ての作業ログが動画とともに自動で記録されるため、想定外の事象の解析や再現、捏造の防止にも役立ちます。

・関わる人たちを危険から守る「抗がん薬調製支援装置」

抗がん薬は毒性が強く、調製する薬剤師さんが曝露(ばくろ)の危険に晒されていることに加え、患者さんの安全のために調製量の間違いは絶対に許されません。

この装置では、双腕ロボットがアイソレータ(密閉性のあるキャビネット)の中で電子カルテに基づき正確に作業し、薬剤師さんと患者さんを危険から守ります。また、調製後の輸液バッグをオゾン水で除染して払い出すため、受け取る看護師さんも安心です。

・多品種かつ微量でも正確に「液体・粉体秤量ロボットセル」

医薬品分野での精密秤量作業も自動化が可能です。従来、人手に頼らざるを得なかった液体クロマトグラフィー(*成分分析の手法)前処理など、多品種かつ正確な秤量が可能です。カメラを用いて標線基準で秤量を行うなど、精密な作業の自動化を実現します。

バイオメディカル用途ロボットのソリューションを実際に見たい!

安川電機のバイオメディカル用途ロボットを活用したソリューションを、実際に見ることができる展示会が開催されます。

7月3日(水)~5日(金)に東京ビッグサイトで開催される展示会「第21回 インターフェックス ジャパン」では、高精度かつ再現性の高いベンチワークの例として、MOTOMAN-MH5BMによる生菌数試験や田辺工業株式会社による「紛体秤量・薬液調製装置」のデモ実演、および研究者固有の難度の高い技術を共有化できる新しい仕組み「ロボットシェアリングサービス」をご紹介します。

ぜひ当社ブースへお立ち寄りいただき、医薬品業界向けの最先端自動化技術をご体感くださいね。

会場では商談・相談スペースを設けております。会場でのご相談希望や出展製品に関するお問い合わせは、下記よりお気軽にご連絡ください。

 

▼会場での相談希望・出展製品に関するお問い合わせはこちらから!▼

安川電機 ロボット事業部 ソリューション技術部 バイオメディカルロボット部推進課

なお、インターフェックス ジャパンへの入場には招待券が必要です。招待券をお持ちでない方は、ぜひ事前にお申し込みください。

解説のポイント

  1. 医薬品業界では厳しい衛生環境下での人手作業が多く残っているが、自動化が進んでいない現状がある。
  2. 安川電機ではバイオメディカル用途ロボットを開発し、医薬品の開発・製造や実験・研究の現場で自動化に貢献している。
  3. 7月3日から開催される「第21回 インターフェックス ジャパン」では、ロボットを活用した最先端の自動化ソリューションを実際に見ることができる。

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