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使える分野や用途がさらに拡大!
人協働ロボットの市場動向と新機種解説

2022.10.24

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

人手不足や効率化のためロボットによる自動化を検討していますが、
人手作業が中心の分野で、工場の設備規模も大きくありません。
このような状況でも、希望の用途を自動化できるロボットはあるでしょうか。


豆大福先生

人協働ロボットは、安全のために柵で隔離する必要がなく、人と同じスペースを共有しながら一緒に作業できるよう設計されているロボットです。安川電機をはじめ各メーカーが様々な機種をラインアップし、これまで自動化の進んでいなかった分野への導入も増えています。今回は、人協働ロボットの簡単な市場動向から、2022年に発売した新機種の特長や用途を解説します。


人協働ロボットの基礎知識 産業用ロボットと人協働ロボットの違いとは?

従来の産業用ロボットは、人が行うには困難であったり、危険であったりする作業に多く用いられています。一方、人協働ロボットは、同じ空間で働く人の安全を考慮した様々な設計により、人と一緒に作業ができるようになっています。

人協働ロボットの基礎知識 産業用ロボットと人協働ロボットの違いとは?

人協働ロボットの登場により、安全柵が必要なロボットの設置スペースやロボット操作の難しさ、人材・スキル不足などの様々な課題から自動化が難しかった業界や企業においても、ロボットの導入が増えています。

特に近年、世界中の製造現場での人手不足が深刻な問題ですが、既にロボットによる自動化が進んでいる自動車や電子部品以外の分野でも、物流や食品工場をはじめ、医薬品、化粧品、家電組立、建設業界など多くの分野でロボットが使われるようになってきました。

人協働ロボットの市場動向 現場のロボットの20台に1台が人協働ロボットに!

実際に、最近では製造現場で使用されているロボットのうち、およそ20台に1台は人協働ロボットが採用されているといわれています。2017年には約40台に1台であったことと比べると大きな変化です。*1

(図1)
(図1)IFR,「Press Conference World Robotics 2021」, 12頁を基に当社作成

こうした世界的なニーズを受け、人協働ロボットの世界市場規模は、年々増加していく見込みです。2031年の協働ロボット世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで326,397台、同出荷金額ベースで8,247億1,000万円まで成長するものと予測されています。*2

(図2)
(図2)矢野経済研究所, 「協働ロボット世界市場に関する調査を実施(2021年)」を基に当社作成

*1:メーカー出荷金額ベース
*2:メーカー出荷台数ベース
注:産業用ロボットのうち、「ISO 10218」「ISO TS 15066」に適合した協働ロボットを対象とする
注:2021年は見込値、2022年以降は予測値

*1出典: IFR,「Press Conference World Robotics 2021」(2021年10月28日), 12頁
*2出典:矢野経済研究所, 「協働ロボット世界市場に関する調査を実施(2021年)」<https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2949>(最終閲覧日:2022年10月3日)

近くの軽いものから、遠くの重いものまで!人協働ロボットのラインアップを拡充

安川電機は2017年から人協働ロボットシリーズを展開し、ラインアップを充実させることで、省スペースでフレキシブルな生産ラインの実現、そしてロボットの活用分野の更なる拡大を図っています。これにより深刻化する労働力不足に対し、自動化、品質の安定化、低コスト化に貢献します。

2022年には新たに2機種が登場しました。可搬質量10kgのショートアーム仕様により手元での作業性を強化したMOTOMAN-HC10SDTPと、可搬質量を30kgに向上させ、パレタイジング用途へ適用可能なMOTOMAN-HC30PLです。ここからは、この2機種の特長や用途を解説します。

近くの軽いものから、遠くの重いものまで!人協働ロボットのラインアップを拡充

部品のハンドリングや組立てに!可搬質量10kgのショートアーム仕様により手元での作業性を強化したMOTOMAN-HC10SDTP

部品のハンドリングや組立て、工作機械へのワークの投入といった工程は、人手による手元での作業が多くなります。この工程をロボットで自動化する場合、ロボットはアームが長ければ遠くへのアクセスが可能で、作業領域も広くすることができますが、逆に手元の作業は苦手になりがちです。また、狭いスペースで行われることが多いため、柵が必要な産業用ロボットは適用しづらい状況でした。

部品のハンドリングや組立てに!可搬質量10kgのショートアーム仕様により手元での作業性を強化したMOTOMAN-HC10SDTP

MOTOMAN- HC10SDTPの特長と用途

そこで開発されたMOTOMAN-HC10SDTPは、同じHCシリーズの可搬質量10kgタイプのアームを1200mmから900mmにショートアーム化した機種です。

MOTOMAN- HC10SDTPの特長と用途

ワークへのアクセス範囲や作業領域が人に近づき(手元の作業性が強化)、人との作業置換えが容易になります。また、安全柵が不要*1なため、設備の省スペース化に貢献します。

さらに、アームスイング動作により、ロボットが旋回する領域の確保が不要で、最短距離での物の搬送が可能となり、更なる省スペース化と作業時間短縮に貢献します。アーム動作速度は、従来の可搬質量10kgタイプに比べ10%向上(当社特定動作パターン比)したことも特長です。

MOTOMAN- HC10SDTPの特長と用途

各軸がIP67*2の防じん・防滴仕様のため、自動車・機械関連部品、工作機械へのワークの投入(マシンテンディング)、食品*3・薬品・化粧品のハンドリングなど、幅広い用途に最適です。衛生面への配慮から水洗いが必要な用途にも使用できます。

▶MOTOMAN-HC10SDTPの特長・仕様はこちら!
▶カタログを見る

30kg可搬の人協働ロボットでパレットへの積付けを自動化 MOTOMAN-HC30PL

まとまった数量の段ボール等をパレットに積み付ける作業(パレタイジング)は、作業者の負荷が高い作業ですが、ロボットで自動化するにはパレタイジング工程ならではの条件があり、ロボット導入が進みづらい要因となっていました。

30kg可搬の人協働ロボットでパレットへの積付けを自動化 MOTOMAN-HC30PL

■パレタイジング用途で求められる主な条件
・箱自体の質量は10kg~20kgだが、箱を把持するロボットのハンドの重さも考慮すると、ロボットはそれ以上の可搬質量が必要。
・使用される主要なパレットのサイズは1辺が1100mm前後の正方形もしくは長方形のため、ロボットで自動化する場合はそれ以上のリーチが必要。

MOTOMAN-HC30PLの特長と用途

MOTOMAN-HC30PLは、これらの条件に合うよう可搬質量30kgでリーチ1600mmとなるように設計しパレタイジング用途への適用を可能としました。

MOTOMAN-HC30PLの特長と用途

MOTOMAN-HC30PLの特長と用途

安全柵が不要*1なため、ロボットによる重量物の積付けと、作業者によるパレット交換を同時に行うことができ、工程を効率化します。また、設備の省スペース化も実現できます。梱包、箱詰めした製品、およびそれらをまとめた段ボールの搬送などの用途に最適です。

また、各軸がIP67*2の防じん・防滴仕様のため、衛生面への配慮から水洗いが必要な用途にも使用できます。

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*1:HCシリーズは安全機能により安全柵なしのシステム構築が可能ですが、全てのケースにおいてリスクアセスメントとリスク低減方策を実施する必要があります。
*2:IPはIEC(国際電気標準会議)で定められている製品の防じん・防水における保護等級(International Protection Code)を示し、IP67の場合、じんあいは侵入せず、一時的な水没に対して保護できる。
*3:SIやユーザーで十分なリスクアセスメントを実施したうえで適用ください。

人と同じ空間で作業するための安全技術と、操作に不慣れでも安心の機能

今回ご紹介したMOTOMAN-HC10SDTP、MOTOMAN-HC30PLのどちらも、安川電機の人協働ロボットシリーズの特長である、高い安全性と初めてロボットを触る方でも簡単に操作できるなどの特長を引き継いでいます。

また、各社ハンドメーカーから人協働ロボット用として販売されている豊富なエンドエフェクターや周辺機器との接続を簡易化しているため、容易にロボット導入が可能です。

使用事例を動画でチェック!ロボット導入を初めて検討される方へのお役立ち情報

使用事例を動画でチェック!ロボット導入を初めて検討される方へのお役立ち情報

人協働ロボットで作業の効率化や省スペース化を図りたいけれど使用イメージがわかない、他に使える用途があるのか知りたいなど、人協働ロボットに少しでもご興味を持たれたら、導入事例や用途事例の動画を見てみませんか?

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