
製造現場の人手不足は世界的な問題ですね。特に作業負荷が大きい工程の自動化が急がれますが、ご質問にあるとおり一般的な産業用ロボットの導入はハードルが高いのも事実です。そうした課題に対し、近年は人とスペースを共有できる「人協働ロボット」の活用が進んでいます。今回は、手溶接とパレタイジングの用途に特化し、現場ですぐに使うことができる人協働ロボットパッケージ製品とソフトウェアをご紹介します。
人手不足だがロボット導入はハードルが高い?人協働ロボットの導入が増えている理由
一般的な産業用ロボットによる自動化は、ロボット操作の難しさや扱う人材不足、安全柵を含む設置スペースの大きさ、設置に伴う現場のレイアウト変更、設備購入や工事にかかる人件費など、様々な課題があり、初めてロボットを導入する企業においてはハードルの高いものでした。
しかし世界的な人手不足が深刻化する中で、一般的な産業用ロボットとは異なり、安全柵が不要で*1、人とスペースを共有できる人協働ロボットが注目されています。人協働ロボットはレイアウト変更が不要あるいは最小限で導入できるため、導入コストを低減できるメリットもあります。
これまで自動化が難しかった分野や企業においても人協働ロボットの導入が増えており、実際に最近では製造現場で使用されているロボットのうち、およそ20台に1台は人協働ロボットが採用されているといわれています。*2
今回は、このパッケージ製品について、手溶接とパレタイジング用途に特化してご紹介します。安川電機では、人協働ロボット使用した当社標準アーク溶接パッケージ、またはそれぞれの用途の人協働ロボットパッケージをSIerと共に展開し、さらにパッケージをより簡単に使っていただけるソフトウェアを展開しています。
人手不足が深刻な手溶接を人協働ロボットで自動化・高精度化
まずはアーク溶接用途の人協働ロボットパッケージをご紹介します。
溶接市場の大部分を占める手溶接現場においても、人手不足が深刻化しています。しかし、通常の産業用ロボットでは設備のサイズやロボット操作の難解さなどの面で、手溶接現場への導入が困難でした。そのような背景から、“手溶接現場で、人に代わり高精度な溶接を行うロボット”をコンセプトに開発されたのが、人協働アーク溶接パッケージ MOTOPAC-WHCです。
人協働アーク溶接パッケージMOTOPAC-WHCの特長
・かんたん導入
人協働ロボットを使ったパッケージのため安全柵が不要で*1、既存の現場レイアウトを変えることなく、人と同等のスペースに設置可能です。
また、ロボット、ロボットコントローラ、溶接トーチ等、ロボットまわりの必要な機器をまとめて提供し、トーチの取付けも完了した状態で納品されるため、お客さまがご使用されている半自動溶接機に接続するだけですぐにお使いいただけます。
・かんたん操作
「教示」「溶接動作設定」「溶接実行」の各工程を簡単に行える機器・機能を標準搭載しています。複雑なロボット言語などを習得する必要がなく、ロボット操作に不慣れな方でも簡単にご使用いただけます。
・溶接品質の向上
通常の手溶接の場合、作業者の熟練度により溶接品質にばらつきが出ることがありますが、ロボットは決められた作業を高精度に繰り返すことができるため、ムラなく安定した溶接品質を確保できます。
溶接動作を簡単に設定できるアーク溶接専用ウィザード「Weld Builder」(ウエルドビルダー)
MOTOPAC-WHCをより簡単にお使いいただくため、ロボットの溶接動作などを簡単に設定できるアーク溶接専用ウィザード「Weld Builder(ウエルドビルダー) 」を提供しています。
Weld Builder は、MOTOPAC-WHCを動かすための操作機器「スマートペンダント」に標準搭載されています。スマートペンダントは感覚的な操作が特長です。操作の初心者や不慣れな方でも、市販のタブレット型端末と同じような感覚で簡単に人協働ロボットを操作することができます。
MOTOPAC-WHCは、一般的な産業用ロボットでは難しかった設置スペースや操作の困難さといった問題を解消し、人手不足が深刻化する手溶接現場の自動化ニーズにお応えします。MOTOPAC-WHCの機器構成や具体的な導入フローなど、詳細については、人協働ロボットソリューションサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
作業負荷の高いパレタイジングを、柔軟なレイアウトで自動化
次に、パレタイジング用途の人協働ロボットパッケージをご紹介します。
まとまった数量の段ボール等をパレットに積み付ける作業(パレタイジング)は、作業者の負荷が高い作業ですが、ロボットで自動化するには運ぶ箱の重さや作業スペースなどパレタイジング工程ならではの条件があり、ロボット導入が進みづらい要因となっていました。こうした課題を解決するため、パレタイジング用途の人協働ロボットパッケージを展開しています。
人協働パレタイズパッケージ「CoboPal(コボパル)」の特長
株式会社FAMSの人協働パレタイザ CoboPal(コボパル)は、人協働ロボットMOTOMAN-HC20DTP,MOTOMAN-HC30PLを使ったパレタイズパッケージです。最大30kgの高可搬と柵レス*1によるコンパクトな設置が特長です。製品に合わせた最適なハンドをご提案し、段ボール以外の高可搬ワークにも対応可能です。狭い現場にも設置可能で、視認性が高く、どこからでも稼働状況を確認できます。
導入により、繰返し作業による作業者の足腰への負担を軽減し、省人化から他ラインへの配置転換にて生産効率を高めます。
人協働パレタイザCoboPal(コボパル)の仕様や動画を見る
安川電機では、より高可搬なパレタイジングにも対応できる、30kg可搬の人協働ロボットMOTOMAN-HC30PLも展開しています。
人協働ロボットの情報を集約した特設サイトでは、パレタイジング自動化に関する動画を公開しています。実演動画、導入フロー、企業様の導入事例などをご紹介しています。是非ご覧ください。
▼ ウェビナー動画を見る
積み付けパターンを簡単作成
パレタイズパッケージ用ウィザード「PalletBuilder」(パレットビルダー)
人協働パレタイズパッケージをより簡単にお使いいただくため、スマートペンダントで使用できるパレタイズパッケージ用ウィザードPalletBuilder(パレットビルダー)を提供しています。
PalletBuilderでは、箱の取り動作、置き動作、積み付けパターンなど、パレタイズ用の動作プログラムを、ガイダンスにしたがって、簡単に作成/編集することができます。パレタイズシステムの運用もウィザードの画面で実施することができます。
人協働パレタイズパッケージ「CoboPal(コボパル)」、PalletBuilderについての詳細は、人協働ロボットソリューションサイトのお問い合わせフォームからお気軽にお尋ねください。
使用事例を動画でチェック!
ロボット導入を初めて検討される方へのお役立ち情報
人協働ロボットで作業の効率化や省スペース化を図りたいけれど使用イメージがわかない、他に使える用途があるのか知りたいなど、人協働ロボットに少しでもご興味を持たれたら、導入事例やウェビナーの動画を見てみませんか?安川電機の人協働ロボットの情報を集約した特設サイトでは、導入事例・動画や、過去に開催したウェビナーのアーカイブ動画、用途別の自動化ソリューションを多数掲載しています。
また、安全技術や簡単操作などの特長、豊富な周辺機器のラインアップ、電源を入れたらすぐに使えるロボットパッケージ情報などもご紹介しています。お問い合わせフォームもお気軽にご利用ください。
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∗1 HCシリーズは安全機能により安全柵なしのシステム構築が可能ですが、全てのケースにおいてリスクアセスメントとリスク低減方策を実施する必要があります。
∗2 出典:IFR,「Press Conference World Robotics 2021」(2021年10月28日), 12頁