
高性能・多機能化しているインバータは、一方で調整や設定が複雑化していることも事実です。そこで今回は、インバータの保守・管理時に起きがちなトラブル事例と、インバータ向けクラウドサービス「YASKAWA Drive Cloud」を活用した対策方法を紹介します。初心者の方でも安心してインバータをお使いいただけるよう解説していきますね。
インバータ向けクラウドサービス「YASKAWA Drive Cloud」とは?
産業用汎用インバータは高性能化や多機能化が進んでいますが、一方でその機能の多さから調整や設定が複雑という課題もあります。安川電機では、そうした高性能・多機能なインバータをより快適・便利にお使いいただくためのクラウドサービス「YASKAWA Drive Cloud」を提供しています。
まずはこのYASKAWA Drive Cloudについて簡単にご紹介します。YASKAWA Drive Cloudとは、インバータに関連するサービスの総称です。クラウドを活用して「インバータの情報を見る」「インバータを管理する」などの複数のサービスがあり、インバータの使いやすさの向上やスマートな保守・管理をサポートしています。
YASKAWA Drive Cloudには、主に次のようなサービスがあります。
1.トラブル発生・置換え時の復旧が簡単に「Web製品管理サービス」
使用されているインバータの様々な情報を、クラウドにバックアップできるサービスです。
■ポイント:現場で簡単にパラメータを保存でき、どこからでも読み出せる!
インバータをYASKAWA Drive Cloud上のお客様専用ページに登録し、各インバータのパラメータ調整結果や駆動するモータのデータをバックアップしておくことで、トラブル発生時や製品置換え時の復旧が簡単になります。
YASKAWA Drive Cloudの
お客様専用ページを見てみる
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2.トラブルシュートにサッとアクセス スマホアプリ「DriveWizard Mobile」
スマートフォン用アプリケーションの「DriveWizard Mobile」を使用し、インバータ製品の様々な情報を閲覧できるサービスです。
■ポイント:欲しい情報に素早くアクセスでき、調整時間を短縮できる!
インバータ製品のQRコードを読み取るだけで、形式やソフトウェア番号などの製品・マニュアル情報、パラメータの説明やトラブルシュート情報に素早くアクセスできます。
また、パラメータ編集、運転操作、モニタ情報をリアルタイムに閲覧することも可能です。
∗一部ログインが必要な機能があります。ログインにはe-メカサイトの会員登録が必要です。
(注)Google Play および Google Play ロゴは Google LLC の商標です。
Apple および Apple ロゴは米国その他の国で登録された Apple Inc. の商標です。
App Store は Apple Inc. のサービスマークです。
iOS商標は、米国Ciscoのライセンスに基づき使用されています。
QRコードは株式会社デンソーウェーブの商標です。
3.更新時の手間を削減「ファームウェア書換えサービス」
お客様が使用されているインバータのファームウェア(標準ソフトウェア)を最新バージョンに更新(書換え)できるサービスです。
■ポイント:更新作業の人手や手間が減り、素早い対応が可能に!
インバータをYASKAWA Drive Cloud上のお客様専用ページに登録し、ファームウェアをダウンロードします。ファームウェア変更に必要なライセンス発行手続きも、YASKAWA Drive Cloudから行うことができます。
その後、インバータのパラメータ管理を支援するサポートツール「DriveWizard」を使用してインバータに書き込むことで、インバータのファームウェア(標準ソフトウェア)を最新バージョンに更新(書換え)できます。
DriveWizard についてもっと詳しく

YASKAWA Drive Cloudには調整や復旧作業などを簡単・スピーディに行うためのサービスが揃っていますね。それでは、具体的なトラブル事例とサービスの活用事例をみていきましょう。
インバータ保守・管理時のトラブル対策事例
ここからは、インバータの調整・設定・復旧といった場面で起きる様々なトラブルについて、YASKAWA Drive Cloudを活用した対策の事例をご紹介します。
トラブル事例①:パラメータ設定値を記録していた紙を紛失してしまった!
インバータのパラメータ設定値を紙媒体で保管する運用になっているが、その紙を紛失してしまった。故障から復旧する際、設定値が分からないため一から調整しなければならず、復旧に時間がかかってしまった。
対策①
パラメータ情報を紙媒体やPCデータで保管している場合、紛失やデータ破損のリスクがあり、復旧に影響を及ぼすことがあります。
こうした事態は、「Web製品管理サービス」で防ぐことができます。インバータごとのパラメータ情報をシリアルナンバーと紐付けてバックアップしておくことで、すばやく適切なパラメータ復旧が可能になり、スマートな保守・管理が実現できます。
トラブル事例②:異常が発生しているが、マニュアルのどこに情報があるか見つからない
調整や異常発生時の対応にはテクニカルマニュアルを参照している。しかし、マニュアルはページ数や情報量が多く、必要な情報を探すのに時間がかかってしまい、調整が遅れ設備の稼働率が落ちてしまった。
対策②
こんなとき、スマートフォンアプリの「DriveWizard Mobile」を使用すれば、パラメータやモニタの詳細説明、トラブルシュート情報などが表示されます。必要な情報に素早くたどり着けるため、復旧が迅速に行えます。マニュアルが手元にない場合にも便利です。
さらに安川インバータGA500、GA700、CR700はBluetoothによる無線アクセスが可能なため、手の届かない離れた場所に設置されたインバータに盤を開けずにアクセスできます。
(注) Bluetooth 接続でインバータにアクセスする場合は,Bluetooth内蔵LCDキーパッド(オプション)に変更する必要があります。
トラブル事例③ファームウェアの更新に人手や手間がかかる
インバータの機能改善をしたいが、ファームウェア(標準ソフトウェア)を更新するには、メーカーのアフターサービス部門に依頼するか、工場に返送して書き換えてもらう必要があり、いつも人手や手間がかかっている。
対応策③
これまでファームウェアの更新には人手や手間が必要でした。しかし、2020年12月にリリースされた「ファームウェア書換えサービス」により、お客様にて簡単にファームウェアの更新(書換え)が可能になりました。アフターサービス員による書換え作業や、返送といった手間や時間がなくなり、対応時間を短縮できます。
機械の保守・管理ではトラブルが起きがちですが、このようにYASKAWA Drive Cloudを活用することで、初心者の方でも安心してインバータをお使いいただけるようになります。
今日から始められる!YASKAWA Drive Cloudを使用するには?
高性能・高機能なインバータを、より快適に・便利にお使いいただけるようになるYASKAWA Drive Cloud。今回ご紹介したサービスはすべて無償の会員サービスです。e-メカサイトに会員登録・ログインいただければ、その日からすぐにご利用いただけます。
各サービスや対応機種などは以下のページで詳しくご紹介しています。YASKAWA Drive Cloudのお客様専用ページやスマホ向けアプリも、是非実際に触れてお試しください。
YASKAWA Drive Cloudの詳しいサービス内容はこちらから!
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解説のポイント
- 産業用汎用インバータは高性能化・多機能化が進んでいるが、一方で調整や設定が複雑化している課題もある
- 安川電機ではその課題に対し、クラウド上でインバータの情報を見る・管理できるサービスを提供している
- パラメータ設定値を紛失した、マニュアルで必要な情報が見つからない、更新作業が手間といったトラブルの対策が可能に