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次世代の予防保全“CBM”とは?
止まらない機械・設備を実現!

2020.11.25

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

定期メンテナンスを行っていますが、機械・設備の故障による
突発的なライン停止を防げないことがあります。
停止のリスクを減らし、安定した稼働を続けるための保全方法はありますか?


豆大福先生

突発的なライン停止が発生すると生産性低下やコスト増など多大な損害につながります。定期メンテナンスを行っていても、その前に故障してしまうリスクがありますよね。そこで今注目されているのが、機械・設備の状態を監視し、状態に応じてメンテナンスを行う“CBM”という保全の方法です。今回は、CBMの仕組みやメリット、安川インバータを使ったCBMの導入方法などを解説していきましょう。


新たな予防保全のトレンド“CBM(コンディション・ベースド・メンテナンス)”とは

CBMとは、コンディション・ベースド・メンテナンス(Condition Based Maintenance)の略で、「状態に基づいた保全」を意味する言葉です。機械・設備の状態を監視し、状態に応じてメンテナンスを行うことで、故障を未然に防ぐことを目的としています。CBMは、「状態基準保全」や「状態監視保全」などともいわれます。

そもそも保全は、「事後保全」と「予防保全」に分けられます。かつては機械・設備が壊れてからメンテナンスを行う「事後保全(BM:Breakdown Maintenance)」が行われていましたが、現在は機械・設備が壊れる前にメンテナンスを行う「予防保全」が主流です。この「予防保全」は、決められた周期で行う定期メンテナンス「時間基準保全(TBM:Time Based Maintenance)」と、機械の状態を監視して異常を検知したときのみ行うメンテナンス「状態基準保全(CBM)」に分類できます。目的は同じですが、時間を基準にするか状態を基準にするかという点が異なっています。

なぜ今、CBMが注目されている?

実はCBMの考え方自体は以前から存在していたとされています。しかし、導入コストが高価で複雑なデータ処理も必要であったことから実用化が困難でした。近年、センシング技術やIoT技術の進歩、IoT関連機器の低価格化・高品質化などによって、収集したデータから合理的に保全を行うことが可能になり、注目されるようになりました。
一般的な定期メンテナンスに対して「次世代のメンテナンス」ともいわれています。

安川電機では、インバータを活用した機械の異常予兆検知によるCBMをご提案しています。また、様々な機械・設備の異常予兆を知らせるだけでなく、インバータ構成部品の寿命を計算することでインバータ自身の寿命も予測できます。機械の故障を未然に防ぎ、止まらない機械・設備を実現します。

CBMの仕組みとメリット 定期メンテナンスとの比較

では、CBMを導入すると具体的に何が変わるのでしょうか。ここからは、安川電機のインバータを使用した異常予兆検知によるCBMの仕組みとメリットを解説していきましょう。

まず一般的な定期メンテナンスであるTBMと、異常予兆検知によるCBMをコストの面から比較してみます。(図)

なぜ今、CBMが注目されている?

一般的な定期メンテナンスだけを行っている場合、メンテナンスのタイミングよりも前に異常が発生すると、突発的なライン停止につながり多大な損失が発生します。生産性低下やコスト増だけでなく、社会やユーザへの信頼性にまで影響を及ぼすことも考えられます。また、定期メンテナンスでは交換不要な部品であっても交換する場合があり、部品コストが増加する傾向にあります。

安川インバータの異常予兆検知によるCBMを導入すると、機械・設備の異常の予兆をインバータがお知らせします。その後、交換品の手配や交換作業者を手配することで最適なタイミング、最小の部品交換でメンテナンスでき、安定した生産稼働を実現しつつ、メンテナンスコストの抑制に貢献します。

安川インバータによる異常予兆検知には他にもこのようなメリットがあります。

安川インバータによる異常予兆検知のメリット



1.導入コストの低減

汎用インバータを安川インバータに置換え、異常予兆の条件をインストールすることで、異常予兆検知によるCBMを実現します。そのため、機械構成の大幅な変更が不要となり、CBMの導入コスト低減に貢献します。

安川インバータによる導入コストの低減メリット


2.機械の信頼性向上

機械・設備の状態監視のために一般的な上位コントローラを用いる場合、データ収集、監視、判断の周期が長いため、機械の異常予兆を見逃すリスクがあります。
一方、安川インバータは運転状況をリアルタイムに監視しており、機械の変化を細かく検知することができるため、機械の信頼性向上にも貢献します。

安川インバータによる機械の信頼性向上メリット


3.インバータ自身の寿命予測でさらに安定化

生産ラインを止めずに安定した稼動を実現するためには、機械側の異常予兆検知だけでは不十分です。機械を制御しているインバータが寿命により故障すると、生産ラインが停止してしまいます。安川インバータはインバータ構成部品の寿命を計算し、インバータ自身の寿命を予測・通知することで、機械のさらなる安定稼動に貢献します。

安川インバータによる寿命予測でさらに安定化メリット


4.万が一のときにも異常解析が簡単

機械・設備に異常が発生した場合は、迅速な異常解析が必要です。安川インバータはキーパッドにmicroSDカードを挿入し、ドライブレコーダのように、インバータの運転状況(電流、周波数、トルクなど)を記録できます。記録したデータはパソコンで波形として再現できるので、万が一の場合でも簡単に異常解析を行えます。

万が一のときにも異常解析が簡単メリット

安川インバータによるCBM どんな機械や設備で使える?

「次世代のメンテナンス」とも言われるCBM。安川インバータは、ファンやポンプなどさまざまな機械・設備のCBMに活用できます。

安川インバータによるCBMで使える機械や設備

各種機械・設備での安川インバータによる異常予兆検知の事例は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください


安川インバータを使ったCBMの導入方法

安川インバータを使ったCBMの導入方法

安川インバータによる異常予兆検知の導入には、インバータのカスタマイズが必要です。カスタマイズによる課題解決に少しでも興味を持たれたら、まずは担当代理店・営業担当者にご連絡ください。
初めて安川インバータの導入をご検討されている方は、YASKAWAコンタクトセンタにお問い合わせください。

カスタマイズには無料のビジュアルプログラミングツール「DriveWorksEZ」を使用しますが、まずは営業担当者がお客様の課題やご要望を丁寧にヒアリングし、機能のサンプルプログラムをご提供します。プログラムは難しいのでは?とご心配な方でも安心いただけるサポートが整っています。

安川インバータの異常予兆検知機能で、CBMに取り組んでみませんか?
さらに詳しく▶ 【カタログ】安川インバータの適用で異常予兆検知を実現

解説のポイント

  1. 状態に応じてメンテンナンスを行う新たな予防保全「CBM(コンディション・ベースド・メンテナンス)が注目されている。
  2. CBMを導入することで未然に故障を防ぎ、突発的なライン停止による損失発生を防ぐことができる。
  3. 安川インバータが機械・設備の異常予兆を検知することで、さまざまな機械・設備のCBMに取り組むことができる。

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