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豆大福が大好きな通称"豆大福先生"が
安川電機の製品にまつわる疑問や業界の
トレンドをわかりやすく解説します。

インバータとサーボは何が違う?
インバータは“安定”、サーボは“素早く”
制御の特長や用途の違いを解説!

2021.10.25

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

前回の記事ではPMモータと誘導モータの違いを解説していましたよね。
その中でPMモータをインバータで駆動させる事例がありましたが、
同じようにモータを制御するサーボとインバータは何が違うのでしょうか?


豆大福先生

ご質問のとおり、インバータもサーボもモータを制御する装置ですよね。しかしインバータとサーボでは、主に得意とする制御や用途に違いがあります。今回はそんな“そもそもの違い”から解説しましょう。そのうえで後半ではインバータにフォーカスし、安川電機のインバータで実現できることを紹介します。


インバータとサーボの違いとは?特長によって用途はどう変わる?

インバータもサーボもモータを制御する装置です。商用電源を電力変換し、電圧(電流)、周波数を制御して、モータを希望どおりの速度で回転させるという基本機能は同じです。

そのうえで、インバータとサーボの主な違いは制御の特長です。インバータは大容量のモータでも安定した速度を保って駆動させることを得意とし、サーボは動いたり止まったりを繰り返す動きを得意としています。必要な性能、機能によってインバータとサーボを使い分け、実際に使用される分野も大きく異なります。

(表1)インバータとサーボの違い
(表1)インバータとサーボの違い

インバータは、モータの回転速度を制御する装置です。回転数を自由自在に変化させ、機械に滑らかで安定した動きを供給します。生活関連機器、社会インフラ設備など生活関連の身近なところから産業機械まで、幅広い用途で使用されています。ファンやポンプの場合は、モータだけで機械を動かし続けるよりも消費電力が少なく済むため、無駄な電力消費を抑え、省エネに貢献できることも特長です。

サーボはモータで動く機械の位置や速度を制御する装置です。エンコーダ付きの専用同期モータを制御し、指令された位置、速度に従って、忠実、確実に移動させることを得意としています。その特長を活かし、高速で高精度な位置決めが要求される工作機械や半導体製造装置などに加えて、軽量、小型化も求められる産業用ロボットなどにも使用されています。

こうしたインバータとサーボの特長の違いによって、機械の速度を制御し滑らかに安定させて動かしたい場合はインバータを、機械の位置を高速高精度で制御したい場合はサーボを使用する、という使い分けができるんですね。

安川電機のインバータとサーボにはどんな違いがある?

インバータとサーボで実際に数値ではどれだけの違いがあるのか、安川電機の製品で比較してみましょう。容量範囲はインバータのほうが大きく、速度制御範囲はサーボのほうが細かいといった違いがあり、第1章で見たようにそれぞれに適した用途があることが分かります。

(表2)安川電機のインバータとサーボの比較
(表2)安川電機のインバータとサーボの比較

安川電機では1958年に世界で初めて原型となるミナーシャモータを発明して以来、ACサーボモータは業界シェアNo.1となり、2021年には最新サーボドライブΣ-Ⅹが誕生しました。
∗リサーチ会社のデータより当社推定
▶サーボの用途・事例(ソリューション)を見てみませんか?

一方インバータの累計出荷台数は3000万台で、なんと安川電機のインバータにより世界の年間電力消費量を約4%削減している計算になります。従来は上位コントローラで制御していた機能を標準搭載するなど、進化を続けています。
▶インバータの用途・事例(ソリューション)を見てみませんか?

滑らかに動かすだけじゃない!安川インバータだからできる4つのこと

ここからはインバータにフォーカスし、「機械を滑らかに動かす」というインバータの特長に加えて、安川インバータ新シリーズだからこそ実現できることをご紹介していきます。

滑らかに動かすだけじゃない!安川インバータだからできる4つのこと

① あらゆるモータに対応し、高性能に駆動するモータ制御

安川インバータ新シリーズはあらゆるモータに対応し、高性能に制御します。汎用の誘導モータはもちろん、高効率で省エネルギーのPMモータ(PGなし/PG付き)も制御可能です。PM用PG付きベクトル制御の応答周波数は、インバータでありながらACサーボドライブと同等の250Hzを実現しています。
∗ACサーボドライブ初代Σシリーズ(現在は生産中止)

① あらゆるモータに対応し、高性能に駆動するモータ制御

また、GA700に搭載された「EZベクトル制御」を使えば、誘導モータやPMモータだけでなく、シンクロナスリラクタンスモータも駆動できます。銘板情報の入力だけで様々なモータを駆動でき難しい調整は不要です。試運転時間の削減やインバータ在庫の共通化が図れます。

① あらゆるモータに対応し、高性能に駆動するモータ制御

② 周辺機器機能を取り込んだシステムのコストダウン

モータ制御性能に加え、コスト面の付加価値も提供します。インバータ本体に周辺機器の機能を取り込むことで周辺機器が不要となり、省スペース・省配線、省力化を実現します。初期投資を最小化します。

②	周辺機器機能を取り込んだシステムのコストダウン

③ リアルタイムな異常予兆検知で機械設備を止めない

③ リアルタイムな異常予兆検知で機械設備を止めない

安川インバータは、独自の検知機能により機械や生産ラインの安定稼働も実現します。

安川インバータはモータを駆動するだけでなく、モータを通してリアルタイムに機械・設備の状態を監視しています。そのデータを活用し機械・設備の劣化を検知する「異常予兆検知」機能や、インバータ自身の寿命部品の劣化状態から交換時期をお知らせする「寿命予測診断」機能により、突発的な停止を防ぎます。

▶インバータによる異常予兆検知についてもっと詳しく!
カタログダウンロード「安川インバータの適用で異常予兆検知を実現」

■インバータで機械・設備の動きをセンシング
インバータをカスタマイズすることで機械・設備の動きを簡易的に検出します。
(注)ビジュアルプログラミングツールDriveWorksEZでインバータのカスタマイズが必要です。

インバータで機械・設備の動きをセンシング

■インバータの寿命予測診断
有寿命部品の劣化状態をリアルタイムでモニタリングし、交換時期をお知らせします。

インバータの寿命予測診断

また、PMモータで交換が必要となる磁力低下(不可逆減磁)現象を防止し、ダウンタイム短縮、モータの長寿命化に貢献します。

④ IoT対応で生産管理を効率化

さらに、こうして安川インバータがリアルタイムに監視した機械・設備の状態(データ)を上位側に“つなぐ”ことで、生産管理の効率化に貢献します。

④ IoT対応で生産管理を効率化

インバータとサーボの違いはお分かりいただけたでしょうか。インバータの高性能化・高機能化により幅広い分野への適用が可能となっています。インバータ適用のご相談や安川インバータ新シリーズによるソリューションなどについて疑問や興味を持たれた方は、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください!

解説のポイント

  1. インバータとサーボの主な違いは制御の特長。インバータは安定した速度を保って駆動させること、サーボは動いたり止まったりを繰り返す動きを得意としている。
  2. インバータは安定した動きが必要な分野、サーボは高速で高精度な位置決めが求められる分野に使われている。
  3. 安川電機のインバータ新シリーズは、機械を安定した速度で動かすことに加え、コストダウンやリアルタイムな監視による異常検知、IoT対応といった特長を持っている。

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