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豆大福が大好きな通称"豆大福先生"が
安川電機の製品にまつわる疑問や業界の
トレンドをわかりやすく解説します。

生産設備の安定稼働に欠かせない
「オーバーホール」はなぜ重要?
部品の劣化事例や交換目安も紹介

2025.06.17

豆大福先生への質問 豆大福先生への質問

生産設備で安川電機製品を使用しています。
長期にわたり安定的に低コストで維持・運用していきたいのですが
どのような方法がありますか?


豆大福先生

生産設備の安定稼働を維持するためには、設備に使用している製品の計画的なメンテナンスが不可欠です。長期間の使用や保管による製品の劣化を放置していると、突発的な設備停止につながるおそれがあります。こうしたリスクを未然に防ぎ、かつ長期的にメンテナンスコストを削減するには、定期的な「オーバーホール」がおすすめです。今回は、具体的な部品の劣化事例や、安川電機のオーバーホールサービスについてご紹介します。


※ここで述べるオーバーホールは 製品の全ての構成部品の劣化を調査診断・新品交換するものではなく、当社ノウハウに基づく予測による特定の劣化予想部品の交換を中心としたメンテナンスとなります。製品のご使用状況や設計・製造・使用部品のばらつき要因などによる突発・想定外の故障を全て予防できるものではありません。ご了承いただきますようお願い申し上げます。

オーバーホールの重要性とメリット

製品に使われている部品は、使用環境(温度・湿度・油分・粉塵など)や稼働状況(時間・サイクルなど)の条件より、徐々に劣化していきます。こうした劣化は、製品の突発的な動作不良や故障につながり、故障発生時の修理・交換コストが増加します。

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オーバーホール」とは、このように経年劣化した部品や故障個所の抽出、部品交換や清掃などを行い、装置の性能を回復することです。オーバーホールを適切に行うことで、以下のような効果が期待できます。

1.設備の信頼性向上
部品の摩耗や劣化が故障に至る前にオーバーホールを実施することで、突発的なトラブルを未然に防止し、生産設備の安定稼働を維持することができます。

2.性能・安全性の回復
継続使用や長期保管により劣化が進行する部品を計画的に交換することで、製品の性能および安全性を良好な状態に維持回復できます。

3.寿命延長・コスト削減
故障してから修理を行う事後保全に比べて、簡易診断によるメンテナンスコストの低減、リードタイムの短縮が可能です。設備の停止期間を短縮し、製品へのダメージを回避することで、製品および設備の寿命延長と、長期的なメンテナンスコストの削減につながります。

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(図)一般社団法人 日本電機工業会,「汎用電気機器 更新のおすすめ」を基に当社作成

  1. 計画的にオーバーホールを行うことで、故障してから設備を止めて修理や交換を行うよりも、長期的なメンテナンスコストの削減につながるんですね。

部品の劣化事例と交換時期の目安

特に製品内部の部品は目視で把握するのが難しく、劣化や故障に気づきにくいのが現状です。代表的な部品の劣化事例をご紹介します。

事例①アルミ電解コンデンサ
長期間の使用や保管により電解コンデンサから電解液の液漏れが発生すると、周辺回路(IC端子部)が腐食し、回路の破損を引き起こすことがあります。

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電解コンデンサの液漏れ

事例②冷却ファン
油分・粉塵が付着するとファンの回転不良を起こし、十分な冷却ができなくなるおそれがあります。

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冷却ファンの故障

事例③ベアリング
ベアリングの劣化は、グリスの流出や枯渇、錆、振動・異音の発生、回転異常の原因となる場合があります。

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ベアリングの劣化(グリスの流出)

事例④異物の付着
粉塵の堆積などにより絶縁低下が引き起こされ、機能不全・回路動作不良につながることがあります。

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粉塵の堆積

こうした劣化に気づくには、定期的なオーバーホールが効果的です。部品によって交換時期の目安は異なり、例えばコントローラのアルミ電解コンデンサは5年、様々な製品に使用されている冷却ファンは2~3年が目安となっています。

(表1)部品の交換時期の目安
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見落とされがちな「予備品」の劣化リスク

注意したいのが、長期間保管されている「予備品」の劣化リスクです。予備品は使用頻度が低いため、点検や整備の優先度が下がる傾向にありますが、保管環境や経年変化の影響を受けて、保管中も劣化が進行する可能性があります。

主に以下のような要因によって、予備品にも劣化リスクが生じます。

  • 湿度・温度・油分・粉塵などの環境要因
  • 電解液の蒸発や漏れ
  • 接点の酸化による接触不良
  • 潤滑剤の固化

このようなリスクを踏まえ、予備品についてもオーバーホールを実施することで、突発的な故障の発生を未然に防ぐことが可能です。

特に5年以上保管された予備品については、劣化リスクが高まります。定期的なオーバーホールを推奨しています。

安川電機のオーバーホールサービス対象製品

安川電機では専門のリペアショップでの製品メンテナンスを実施しており、故障修理に加え、オーバーホールサービスも提供しています。

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対象製品は以下の通りです。(2025年4月現在)

●コントローラ

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●サーボアンプ

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●サーボモータ

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●インバータ

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お使いの製品・予備品の状態を確認しませんか?

オーバーホールは、生産設備の安定稼働を維持するために欠かせない作業です。定期的なオーバーホールを行うことで、安定稼働のみならず、設備の寿命延長と長期的なメンテナンスコストの削減にもつながります。

生産設備を安定稼働したい、突発故障を防止したい、最近予備品の状態を確認していない、といった方は、ぜひ一度、YASKAWAコンタクトセンタまたは製品を購入された商社(拡販パートナ)へお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから

※これまでにお取引のあるお客さまは、拡販パートナ(代理店)へお問い合わせください。

解説のポイント

  1. 生産設備の安定稼働と性能維持のため、製品の計画的なメンテナンスが不可欠。
  2. 定期的なオーバーホールにより、突発的な故障による生産停止が未然に防止でき、長期的なコスト低減につながる。
  3. 安川電機では専門のリペアショップでの製品メンテナンスを実施しており、故障修理に加え、オーバーホールサービスも提供している。

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