
インバータは機種によって主回路端子の端子形状が異なりますよね。安川電機のインバータ製品も「ねじ端子台」の機種と、「ヨーロッパ式ねじ端子台」の機種があります。導入・置換えを検討される際は、端子形状や接続手順も確認しておきたいポイントです。今回は、「ねじ端子台」と「ヨーロッパ式ねじ端子台」の違いや特長を解説し、ヨーロッパ式ねじ端子台の接続手順を動画でご紹介します。
安川インバータは機種によって主回路端子が異なる
安川電機の汎用インバータ「A1000」「V1000」「GA700」「GA500」には、主回路端子が「ねじ端子台」の機種と、「ヨーロッパ式ねじ端子台」の機種があります。
- A1000:ねじ端子台
- V1000:ねじ端子台
- GA700:ヨーロッパ式ねじ端子台(*200V:2257~2415、400V:4208~4H12はねじ端子台)
- GA500:ヨーロッパ式ねじ端子台
当社ではインバータの置換えの際、A1000をお使いの場合はGA700へ、V1000をお使いの場合はGA500への置換えを推奨していますが、「ねじ端子台」と「ヨーロッパ式ねじ端子台」では接続方法や運用圧着端子が異なります。
ヨーロッパ式ねじ端子台とは?ねじ端子台との違いや特長
「GA700」「GA500」の主回路端子に採用されている「ヨーロッパ式ねじ端子台」について、ねじ端子台と比較しながらご紹介します。
●接続方法の違い
大きな違いは配線方法です。ねじ端子台は、ねじを外し、丸形圧着端子を通して端子台に締付けます。一方、ヨーロッパ式ねじ端子台は、ねじを取り外すことなく、ねじを緩めて端子台に差し込み、締め付けることが特徴です。
●運用圧着端子の違い
また、配線時の運用圧着端子も異なります。ねじ端子台は「丸形圧着端子」を使用しますが、ヨーロッパ式ねじ端子台は、圧着端子が不要な「裸線」か「フェルール端子」を使用します。
ヨーロッパ式ねじ端子台のメリット
ねじ端子台・ヨーロッパねじ端子台それぞれに特長がありますが、ヨーロッパ式ねじ端子台のメリットとしては、「①制御盤の設置面積の最小化」と「②配線時の安全性向上」「③配線時の作業効率向上」の3つがあげられます。
①制御盤の設置面積を最小化できる
「丸形圧着端子」を使用するねじ端子台に比べて、インバータ本体の横幅の寸法が小さくなり、設置面積を削減できます。例えばGA700の場合、ねじ端子台の従来製品(A1000)に比べて最大45%小型化されており、制御盤をコンパクトに設計できます。
②配線時の安全性が向上する
ヨーロッパ式ねじ端子台は、配線時にねじの取外しが不要であることが特長です。配線時にねじが脱落することなく、安全に配線作業を行うことができます。
③配線時の作業効率が向上する
GA700では、従来製品(A1000)で2段になっていた端子台が解消され、配線の作業効率が大幅に向上することもメリットです。
ヨーロッパ式ねじ端子台の配線、「裸線」と「フェルール端子」どちらがおすすめ?
ヨーロッパ式ねじ端子台を採用した主回路端子への配線は、「裸線」と「フェルール端子」のどちらでも適用可能です。
裸線の使用に抵抗のある方には、「フェルール端子」の使用をおすすめしています。フェルール端子は電線(より線)のバラケ防止、電気接続の品質を安定させる小型の棒形圧着端子です。端子が筒状になっており、導電部まで電線を挿入して圧着します。
●フェルール端子付き電線の準備手順
電線の被膜をむき、フェルール端子を装着、圧着加工(カシメ)して使用します。

■よくある質問コーナー
Q:裸線で配線すると短絡する可能性がありますか?
A:IP20対応のため、両隣との端子台とは短絡防止用のカバーを付けています。銅線の"ひげ"による短絡を気にされる方は、フェルール端子を適用してください。
Q:推奨の棒端子メーカーはありますか?
A:フエニックス・コンタクト、パンドウイットコーポレーション製を接続できることを確認しています。詳しくは、GA500主回路ヨーロピアン端子台用フェルール端子選定リストを参照ください。
ヨーロッパ式ねじ端子台の接続手順を動画で紹介
ヨーロッパ式ねじ端子台の接続手順を動画でご紹介します。

■よくある質問コーナー
Q:ヨーロッパ式ねじ端子台は、どれくらい配線工数を削減できるのでしょうか?
A:裸線で接続する場合、ねじ端子台に比べて最大で約70%の工数を削減できます。
Q:1つの端子に2本配線する場合はどうしたらよいですか?
A:TWINフェルール端子の使用を検討してください。同じ断面積の 2 本の電線を同時に圧着することができます。
インバータの置換えをご検討中の方へ
ヨーロッパ式ねじ端子台を採用している安川インバータGA700、GA500には、抜けや振動に対する強化対策が施されています。
まず、振動/引っ張りに対しては、ストレインリリーフ*やシールドクランプアタッチメント*を活用し、ケーブルを固定することで、端子台にかかる負荷を軽減できます。
*オプション品を準備
また、ねじ端子台の機種から置換えをされる際、丸形圧着端子を流用する場合には、中継端子台を経由することで既存の丸形圧着端子を使用できます。
インバータの置換えを検討される際は、今回ご紹介した端子台の違いのほかにも、互換性や稼働への影響、機能・性能の違いが重要になります。これらはシステムコスト・セットアップコストにも影響します。
e-メカサイトでは、インバータの置換えのポイントを集約した特設ページをご用意しています。また、置換えについてのご不明点やご相談については、お問い合わせページからぜひお気軽にご連絡ください。置換えのサポートも行っています。

解説のポイント
- 安川インバータの主回路端子は、機種によって「ねじ端子台」のものと「ヨーロッパ式ねじ端子台」のものがある。
- ねじ端子台とヨーロッパ式ねじ端子台の大きな違いは接続方法。ヨーロッパ式ねじ端子台は、ねじを取り外すことなく、ねじを緩めて端子台に差し込み、締め付けることが特徴。
- ヨーロッパ式ねじ端子台への配線は、「裸線」と「フェルール端子」のどちらでも適用可能だが、裸線の使用に抵抗のある方には、「フェルール端子」の使用をおすすめしている。
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