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豆大福が大好きな通称"豆大福先生"が
安川電機の製品にまつわる疑問や業界の
トレンドをわかりやすく解説します。

コントローラ実機なしで
アプリケーションの開発や検証は可能?
開発コストを削減する
シミュレーション機能を紹介

2024.11.26

豆大福先生への質問 豆大福先生への質問

装置や生産設備を開発していますが、
アプリケーション(動作プログラム)開発の段階で問題が発生すると、
ハードウェア(機構や構造)を含む設計変更が必要になることがあり、
開発に大きなコストがかかっています…


豆大福先生

装置や生産設備の開発では、ハードウェア(機構や構造)が完成した後にアプリケーション(動作プログラム)の開発や検証を行うことが一般的ですよね。しかし、ハードウェアが組み上がった後の動作検証・評価で問題が発生した場合、設計変更のコストが大きくなることが課題です。そこで今回は、ハードウェアの設計段階で動作確認やデバッグを行える、コントローラシミュレーション機能をご紹介します。


設計変更のコストとタイミング

従来の装置開発では、装置が組み立て終わった後に、アプリケーション(動作プログラム)を開発し、装置の動作検証を行うことが通例でした。しかし、装置が組み立て終わった後に「この装置の構造では衝突してしまった」とか「この装置の構造では求めた仕様に満たさない」といったことが判明すると、設計変更に時間とコストがかかってしまいます。

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そこで、設計作業の前倒しを行う「フロントローディング」を活用することで、設計変更にかかるコストを抑えられ、設計作業量も少なくなります。そのためには、装置を組み立てる前にアプリケーションの開発、検証を行うことが必要です。

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フロントローディングとは?

開発プロセスの中で、一般的に設計初期の段階に負荷をかけ、作業を前倒しで進めること。前倒しできる作業を初期段階に行うことで、後工程での変更にかかる工数やコストを削減できる。

コントローラ実機なしでアプリケーションの開発・検証ができる「シミュレーション機能」とは?

フロントローディングに活用できるのが、当社のシステム統合エンジニアリングツール「MPE720 Ver.7に搭載された「コントローラシミュレーション機能」です。
MPE720Ver.7のバージョン7.94から搭載しています。

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この機能は、コントローラ実機なしでアプリケーションの開発・検証ができる機能です。装置の基本設計や詳細設計の前に、ラダープログラムやモーションプログラムの稼動、サーボの動作ができるようになります。
実際の機器がない状態でも、装置の動作アプリケーションを検証できるため、装置開発を効率化し、開発コストを削減できます。

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実機がなくても動作確認可能!シミュレーション機能で実現できること

シミュレーション機能で実現できるのは主に以下の内容です。実機がなくても、サーボの動作確認やプログラムのデバッグに活用できます。

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●サーボの割付け、動作シミュレーション
モジュール構成定義で、回転型またはリニア型のサーボを割り付け、実機で試したい位置決めなどの動作テストを行うことができます。モジュール構成定義で割り付けた機器は実機でもそのまま使用できます。
※サーボ応答は、シミュレーション機能による理想応答となります。

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●ラダープログラムの実行、モーションプログラムの実行
実機を用意しなくても、BitのON/OFF、レジスタの数値計算、サーボの動作指令など、プログラムの実行、デバッグを行えます。作成したプログラムはそのまま実機へ適用可能です。

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●軸運転モニタやトレース機能による動作確認
ラダープログラムやモーションプログラムの実行中に実際の数値や波形を確認する際に、軸運転モニタやトレース機能を使用して詳細なデバッグを行うことができます。サーボオンやその時点で発行しているモーションコマンド、それぞれのモータの現在位置や数値状態などをトレースします。

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●シミュレーション機能には制約事項もあるので注意
シミュレーション機能使用時には複数の制約事項があります。現バージョンにおける主な制約事項は以下の通りです。その他、対応しているコントローラ機種など、詳細は「MPE720 Ver.7 ユーザーズマニュアル」を参照ください。(会員サービス)

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【応用編】外部ソフトウェア連携で、手戻り工数・コストを更に削減!

ここからは、シミュレーション機能を応用して、更なる手戻り工数・コスト削減できる方法をご紹介します。
MPE720と3D CADソフトウェアなどの外部ソフトウェアを連携させることで、1台のパソコン上で3D CAD機構モデルを動かし、よりビジュアライズされたデバッグを実現します。機構の干渉チェックといった装置動作のシミュレーションも可能になります。

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※本機能は、当社のMPE720単独では実現できません。外部ソフトウェア連携にご興味をお持ちの方は、担当の営業部門にお問い合わせください。

●連携システム構成例:iCAD SXと連携させる場合
iCAD SXは接続機能や動作連携機能が搭載されているため、作成した3D CADデータをそのままシミュレーションすることができます。コントローラシミュレーション機能が演算したサーボの現在位置を基に3D CADが動き、CADシミュレーションを行います。

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また、任意のタッチパネルシミュレータを使い、シミュレーション機能のネットワークに接続することで、タッチパネルのアプリ開発やシーケンスの確認もできます。その他のCADツールとの組み合わせも可能ですので、お気軽にご相談ください。

【応用編デモンストレーション】3D CADソフトウェアとの連携

CADシミュレーションと連携した操作デモンストレーションをご覧ください。

まず、タッチパネルシミュレータを起動し、iCAD SXのシミュレーションモードも起動します。この状態でタッチパネルのサーボオンをすると、画面左下のレジスタのウォッチが「オン」に変わり、画面上部のサーボ軸が「サーボオン」という表示に変わります。

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そして、動いている軸に関して「定速送り」というコマンドが発行され、画面右下のCADが動作します。

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次に、実際にデモ動作を操作します。実機でトレースしたい設定をシミュレーションモードであらかじめ設定しておきます。ここでは、速度やフィードバック位置を収集データとして設定しています。 デモを動かすと、リアルタイムトレースも一緒に動きます。また、シミュレーションモードのトレース設定はそのままプロジェクトに保存されています。

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このように、CADとタッチパネルシミュレータを連携することによって、より視覚的に分かりやすいデバッグを行うことができます。従来では装置を組み立てなければ確認できなかったことが、パソコン一つで可能になります。

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シミュレーションを活用した装置開発コスト削減にご興味をお持ちの方は、お問い合わせページからぜひお気軽にご相談ください。
※外部ソフトウェア連携によるシミュレーション機能は、当社のMPE720単独では実現できません。ご興味をお持ちの方は、担当の営業部門にお問い合わせください。

サーボ・コントローラの使い方やプログラム方法を動画で発信中です

今回ご紹介した内容は、安川電機のYouTubeチャンネルでご紹介しています。この他にも、当社製サーボやコントローラの技術的な解説動画を30本以上公開中です。特に、設計・保守や生産技術などのご担当者さまにおすすめです。
テーマ別に分かれた10~20分のコンパクトな動画で、必要な部分だけを手軽に確認できます。ぜひご活用ください!

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解説のポイント

  1. 装置や生産設備の開発では、ハードウェアが完成した後にアプリケーションの開発や検証を行うため、設計変更コストが大きくなることが課題。
  2. 安川電機では、ハードウェアの設計段階で動作確認やデバッグを行える「シミュレーション機能」を提供している。
  3. 外部ソフトウェアと連携することで、パソコン上で3D CAD機構モデルを動かし、よりビジュアライズされたデバッグも可能に。

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