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産業用ロボット点検の基本を解説
点検業務を定めた法令、
人手不足などの課題に対応するには?

2024.10.22

豆大福先生への質問 豆大福先生への質問

産業用ロボット点検の重要性は理解しているのですが、
点検作業者の人手不足や教育・育成が課題になっています。
今後も安定して安全に稼働し続けられるか心配です。


豆大福先生

産業用ロボットは精密機械であり、他の機械と同じように長期間使用すると経年劣化が生じます。適切な点検を怠ると急な生産停止や事故にもつながることも……。安定稼働と安全性確保のため産業用ロボットの点検は不可欠ですが、点検業務には専門的な知識や技術が求められ、近年は人手不足が深刻な課題となっています。今回は、産業用ロボット点検の業務内容や法令について解説し、安川電機のエキスパートによる点検サービスについてもご紹介します。


産業用ロボット点検の重要性

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産業用ロボットの点検は、安定稼働と作業者の安全性を確保するために不可欠です。
産業用ロボットは高精度な動作が求められる一方で、不具合や故障が発生すると生産ラインが停止したり、重大な事故につながったりする可能性があります。

また、近年では人と同じスペースを共有しながら一緒に作業する「人協働ロボット」も普及しており、作業者の安全性確保が一層求められています。

ロボット点検を欠かさず行うことで、故障の兆候や部品の劣化を早期に発見し、事故や生産停止を未然に防ぐことができます。

産業用ロボットの点検業務は法令で定められている

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産業用ロボットの点検業務には、「日常点検」と、実施時期を定めたうえで製造ラインを停止して行う「定期検査(定期点検)」があります。

「労働安全衛生法 第28条 第1項」に基づく「産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針」では、ロボットシステムを運用する事業者は、作業開始前点検と定期検査を行うこと、そして点検や検査で異常を発見した場合は補修を行い、検査や補修の内容を記録して3年間保存することが定められています。

産業用ロボットの点検業務には主に以下のようなものがあります。

●日常点検の業務内容
産業用ロボットの稼働前後で日常的に行う「日常点検」は、ロボットのユーザーが日々実施するものです。ロボットの稼働時に異常な音や振動がないか、ボルトや部品のゆるみがないかなどを点検し、異常があればただちに補修を行います。

労働安全衛生法に基づいて、労働の安全衛生について基準を定めた省令「労働安全衛生規則」第151条では、教示作業前の点検と、異常を認めた際は補修を行うことが定められています。

●定期検査の業務内容
定期検査(定期点検)は、ロボットの稼働を停止させて実施します。

  • 主要部品のボルトのゆるみの有無
  • 可動部分の潤滑状態その他可動部分に係る異常の有無
  • 動力伝達部分の異常の有無
  • 油圧および空圧系統の異常の有無
  • 電気系統の異常の有無
  • 作動の異常を検出する機能の異常の有無
  • エンコーダの異常の有無
  • サーボ系統の異常の有無
  • ストッパーの異常の有無

など
出典:厚生労働省,「産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針 5定期検査等」

産業用ロボットの点検業務は深刻な人手不足が課題に

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ロボット点検は重要ですが、一方で課題もあります。まず挙げられるのが、点検作業者の深刻な人手不足です。少子高齢化に伴って、経験豊富な熟練技術者が引退し、後継者が不足している現状があります。

また、日常点検はユーザー側で実施できている場合でも、定期点検にはより専門的な知識を持った技術者が必要です。機械的な知識だけでなく、センサーやソフトウェアの知識も求められます。ロボットの高性能化に伴って点検技術も高度化しており、技術者への継続的な教育が欠かせません。しかし、教育コストや教育者人材の不足が、課題を一層深刻にしているようです。

定期検査は生産ラインを停止させて行うため、点検スケジュールと人員を調整し、確実かつスムーズな作業が求められます。そのため、産業用ロボットの定期点検は、ロボットメーカーやメンテナンス会社などに委託することが一般的です。

産業用ロボットの定期点検・専門的な点検は、安川電機にお任せください!

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こうした産業用ロボット点検を取り巻く課題に対し、安川電機では、専門的な知識と技術を持つエキスパートによるロボット点検サービスを展開しています。本来必要な定期点検に加えて、お客さま側ではカバーしづらい箇所について専門的な点検も行います。

一次点検では、タイミングベルトのベルトテンション、摩耗チェック、機内リードの保護ばね摩耗チェック、減速機のグリース交換・補給、電源電圧測定や動作確認を行います。
また、二次点検では、一次点検の箇所・内容に加えて、ロボットの機内リード交換作業も行います。

●ロボット(MOTOMAN)点検 点検内容
※定期点検実施の推奨時間はロボット機種により異なります。

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産業用ロボットの点検を依頼したいときは?点検サービスのお申込みから対応までの流れ

当社ロボットを購入された商社が窓口となり、ヒアリング後にお見積となります。まずは商社の担当者にご連絡ください。

サービスをお申込みの際は、製品の形式(ロボットのオーダー番号)、シリアルナンバー、製造年月日の情報をご準備いただくと、ヒアリングやお見積りの時間短縮につながります。もちろん、情報が揃わない・分からない場合でも、お気軽にお申し込みください。

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産業用ロボットの点検は、安定稼働と作業者の安全性を確保するために不可欠です。点検作業の人手不足にお悩みの方、専門的な技術者をお求めの方は、ぜひ安川電機の点検サービスをご活用ください。

また、安川電機では、製品の導入時から故障復旧、点検・診断などの予防保全、更新・改造まで、お客さま設備のライフサイクルにあわせて最適にサポートいたします。アフターサービスのページでは、様々なシーンでのご希望やお困りごとにお応えするサービスをご紹介しています。

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アフターサービスページをご覧ください!

解説のポイント

  1. 産業用ロボットの点検は、安定稼働と作業者の安全性確保のため不可欠。労働安全衛生法では、実施、記録、記録の保管が定められている。
  2. 一方で、産業用ロボットの点検作業者の人手不足や教育・育成が深刻な課題となっている。
  3. 安川電機では専門的な知識と技術を持つエキスパートによるロボット点検サービスを展開。定期点検に加え、お客さま側ではカバーしづらい箇所について専門的な点検も行っている。

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