
設備、装置の省スペース化を考えるとき、モータの中に線を通せたら……と思ったことはありませんか? 今回は安川電機の中空サーボモータを使った省スペース化や機械の配置を解説しましょう!
配線や配管を貫通させられるサーボモータ
2017年9月に発売となった安川電機の「Σ-7T中空サーボモータ」。最大の特徴は、シャフトの大きな穴です。
この穴に配管を貫通させられるため、エアやワイヤ、液体供給などモータの間に配線や配管を通したい場合に最適です。
中空サーボモータの用途はダイレクトドライブサーボモータに似ていて、CMP装置や巻線機、ロボットなどの用途に使えます。このドーナツのような穴の活用法を考えてみましょう。
中空サーボモータを使うと、余計な部品が減る!
例えば多関節ロボットでは、ベルトなどを使って各回転部分を構成しますが、中空サーボモータなら回転軸の部分を中空部に通すことができます。
中空サーボモータを使うことで、余計な部品を減らせて省スペースになり、製造コストを含めてコストダウンが可能になるケースがあります。
配管だけでなく、空気が通ることもポイント
半導体の製造工程では、穴の中に空気を通せることが役立ちそうです。
半導体製造では、材料のウエハを運んだり加工したりする際、ウエハを慎重に固定する必要があります。
回転テーブルにウエハを載せて加工するとき、テーブルの下側に駆動のために中空サーボモータを設置し、穴を通じて下からエアを吸引すれば、ウエハの固定ができるというわけです。
中空はどう実現された? エンコーダの取り付け方に秘密
ところでこの中空構造はどのようにして作られたのでしょうか。
通常のACサーボモータはシャフトの後ろに円柱状のエンコーダが組み込まれ、穴を開けるのは難しいとされています。一方、この中空モータの場合は、シャフトの円周上にエンコーダを貼り付けています。豊富なラインアップがそろうダイレクトドライブサーボモータでも使用している技術を応用することで誕生したのです。
また、このエンコーダは24bit高分解能で、高精度の位置決めも可能にしています。
さらに、最高回転速度は7000min-1でACサーボと同等。Σ-7シリーズの高速性能を保持しながら機械設計の自由度も上げられます。
“穴”によって省スペース化やコストダウンが叶う中空サーボモータ。ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。