インバータの市場環境は近年刻々と変化していますね。新しいインバータをご検討中ということで、今回は、安川電機の次世代インバータシリーズ「GA700」の特長や便利な機能を解説してみましょう。
産業用モータの規制強化で、インバータの市場環境も変化
まずは、近年のインバータ市場に関わるできごとについて触れておきましょう。
2015年4月、国内で産業用モータの効率化を求める規制が厳しくなりました。産業用モータの効率は国際規格で「IE1 (標準モータ) 」から「IE4 (スーパープレミアム高効率モータ) 」まで設定されていますが、日本では「IE1」から一気に「IE3 (プレミアム高効率モータ) 」に規制を強めたのです。
IE3クラスの永久磁石同期モータや同期式リラクタンスモータは、インバータなしでは使えないということ。この規制強化は、インバータの市場環境大きな影響を与えました。
モータ効率の最大化で省エネを実現
エネルギー効率規制の強化が世界規模で進む中、安川電機は2016年4月に10年ぶりとなるインバータシリーズ「GA700」を発売しました。
「GA700」の一つ目の特長は省エネ効果。モータの消費電力を監視しながらエネルギー効率がいつも最大になるように制御することで、調整不要で高い省エネ効果を実現します。
たとえば空調ファンに使った場合、年間電力量の約9%に当たる約1000kWhを節電できる計算になります∗。
∗ 空調ファン(高効率モータIE3適用)7.5kW、負荷率40%、24時間365日稼動の条件の場合。
▼インバータが自動で消費電力を最小にする「省エネモード」
軽負荷の状態で運転するとモータ効率が落ちるのが従来のインバータの課題でしたが、GA700は軽負荷での効率を大幅に向上させたのが大きなポイントです。
システムコストダウンできる理由とは?
GA700はインバータ本体の周辺機器の機能を取り込んでいることも特長です。DC24V出力を内蔵しているため、別途センサ用の電源を準備することが不要になりました。
これまでは周辺オプションだった制動ユニットやEMCフィルタ、直流リアクトルも内蔵することで初期投資を抑えることができます。
新たにインバータ導入を検討する際、導入コストが気になるところですが、システムコストダウンができることは大きな魅力として感じていただけるのではないでしょうか。
「対話方式」の初期設定で格段に使いやすく
新しい製品を導入する際、使いやすさは重要ですよね。GA700は、国内メーカーで初となる「対話方式」の初期設定機能を採用しています。
従来はマニュアルを見ながら一つずつ設定していくのが一般的でしたが、GA700では運転方法やモータの種類をたずねる質問がキーパッドに表示され、次々と答えていくだけで簡単に設定が完了。初めてインバータを扱う方でも簡単にセットアップできます。
メンテナンスの手間や時間を短縮!
保守・メンテナンスの面では、インバータとの無線接続やパラメータのクラウド管理など、スマートフォンを活用した新しい形のサポートを提供しています。
例えば手の届かない高い場所や機械の奥に設置している箇所にインバータを設置した場合、運転状況を確認したくても難しいこともあったのではないでしょうか。
そんなときAndroidスマートフォンアプリDriveWizard Mobileを利用すれば、メンテナンスが簡単に。Bluetoothでインバータに無線アクセスし運転状況をリアルタイムでモニタリングできるため、離れた場所からでも状況を確認できます。
また、機械に異常が発生したときには必要な対応がスマホに表示されるため、マニュアルを開かずとも対応でき、トラブル対応の時間も短縮されます。
GA700には、装置を付加価値化する多彩な特長があります。製品ページやカタログ、動画などでぜひご覧ください。
解説のポイント
- GA700はモータ効率の最大化により、調整不要で高い省エネ効果を実現。
- 「対話方式」の初期設定機能を採用。初めての導入でも使いやすい。
- スマホアプリの活用で、保守・メンテナンスの手間や時間を大幅に削減できる。