メカトロよろず相談所 豆大福先生に聞いてみようよ メカトロよろず相談所 豆大福先生に聞いてみようよ

豆大福が大好きな通称"豆大福先生"が
安川電機の製品にまつわる疑問や業界の
トレンドをわかりやすく解説します。

風力発電のさらなる拡大に期待!
日本の洋上風力発電の現状や将来性は?

2020.9.24

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

環境に優しい再生可能エネルギーのニーズが高まっていますが、
近年「洋上風力発電」という発電方法が注目されていると聞きました。
仕組みや特長を教えてください。


豆大福先生

洋上風力発電は、1990年代にデンマークで初めて開始された再生可能エネルギーの発電方法です。欧州を中心に広まっていますが、日本でも2019年の法施行により、洋上風車の建設需要が本格化することが期待されているんです。今回は洋上風力発電の仕組みや国内での今後の見通しなどを解説しましょう。


洋上風力発電とは?

大型風力発電は、1基あたり1MW以上発電する風力発電機(以下、風車)と呼ばれる設備を使い発電する方法を指します。風の力を利用して「ブレード」と呼ばれる羽根を回し、その回転運動が「動力伝達軸」を通じて発電機に伝わることで電力に変換する発電方式です。
風が弱い時や台風のような強風下では発電することができませんが、ある一定以上の風があれば昼夜を問わず常に発電を行うことができます。

大型風力発電は欧州を中心に世界中で導入が進んでおり、再生可能エネルギーによる発電量の約半分を占めています。
日本国内でも2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入され、これまで風車の建設が進んできましたが、国土が狭く山が多いという地理的要因により陸上では風況のよい場所や設置できる場所に限りがありました。
そこで注目されているのが、風車を海に設置して発電する「洋上風力発電」です。

洋上は陸上に比べ設置場所の制約が少なく、かつ障害物がなく常に安定した風が吹いているため、より大型の風車を設置することが可能です。 洋上風力発電の導入が進む欧州では、風車の大型化が進み、2019年に設置された洋上風車の単機平均定格出力は7.8MWで、前年よりも1MWほど風車の定格出力が増加しています。*1

*1  出典:WindEurope,「Offshore Wind in Europe – key trends and statistics 2019 –」(最終閲覧日:2020年9月15日) https://windeurope.org/about-wind/statistics/offshore/european-offshore-wind-industry-key-trends-statistics-2019/

風車は大型になればなるほど発電効率が上がるため、世界で大型風車の開発が進められており、現在ではロータ径200m、ブレード先端の高さ250mを超える世界最大出力の大型風車も開発され、運転を開始しています。



(図1)NEDO,「再生可能エネルギー技術白書」などの資料を基に当社作成

実はこれまで、日本における洋上風力発電の導入には、海域の占用に関するルールの問題や、漁業関係者や船舶運航事業者など海域を先行的に利用している人々との利害調整の必要など、多くの課題がありました。
しかし、2019年に「再エネ海域利用法*2」が施行されたことで事業者が洋上に風車を設置しやすくなり、今後洋上風車の建設需要が本格化することが期待されています。

*2  「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(平成30年法律第89号)

洋上風力発電の国内での将来性

日本国内の洋上風力発電では、最大553GWのポテンシャルが想定されています。*3
洋上風車は構造上、風車の支柱が海底まで到達している「着床式」と、風車自体が海洋に浮いている「浮体式」とに分類されますが(図2)、中でも「浮体式」のポテンシャルは、着床式の合計の約3倍強といわれています。*4(着床式:水深10~50mを想定、浮体式:水深100~300mを想定)

*3,*4  出典:一般社団法人日本風力発電協会,「洋上風力の主力電源化を目指して」(2020年7月17日),14頁

欧州では比較的遠浅の海岸が多いため着床式が多く採用されていますが、日本は遠浅の海岸が少なく水深が深い地形ということから浮体式が着目されており、実用化に向け技術開発・研究が進められています。


(図2)NEDO,「再生可能エネルギー技術白書」などの資料を基に当社作成

2019年4月以降、再エネ海域利用法の施行に基づいて「促進区域」の選定が進み、長崎や秋田などで洋上風力発電が計画されています。福岡県北九州市の響灘では、国内最大級となる洋上風力発電所の計画が進んでいるんですよ。

洋上風力発電に求められる大型風力発電用電気品の特長

洋上風力発電はメリットも多くある一方、洋上風車は陸上風車に比べるとアクセス性が低く、メンテナンスに多くのコストや時間がかかるという課題もあります。そのため、洋上風車には環境に耐え得る高い性能と高信頼性が強く求められています。

安川電機ではそうしたニーズに応えるとともに、これまで一般産業用で培ってきたパワー変換技術やモータ発電機技術を活かして、大型風力発電専用の最適な電気品をご提案します。

■発電機(永久磁石式同期発電機) ―耐環境性強化・高効率を実現!
原動機の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する永久磁石式発電機。出力は0.55MW~6.4MW、低速・中速・高速などの豊富な機種をラインアップし、大容量化する洋上風力発電(10MW級)についてもカスタマイズ対応可能です。



  1. 耐環境性を強化した内気循環型水冷方式の採用
    発電機内部を効率的に冷却することができる内気循環を使用しています。効率的な冷却構造とすることで、発電機本体の小型・軽量化を実現しました。
  2. 高効率を実現する永久磁石式発電機
    大型風力向け発電機は、すべて永久磁石式を採用し、当社独自の配置により、発電機の高効率化を実現しました。
  3. 大容量風力発電に対応可能な製品ラインアップ
    風力発電の大容量化に対応可能な生産設備・試験設備を保有しています。今後、さらなる大容量化に対応するため、試験設備容量を増強する予定です。

■フルパワーコンバータ ―高信頼性を追求し、洋上ならではの課題に対応!
フルパワーコンバータは、発電したエネルギーを系統連系が可能な電圧・周波数に変換します。電力変換率97%を実現し、様々な発電機に適用可能です。


  1. IP54標準採用による耐環境性の強化
    洋上における塩害、振動等の耐環境性を考慮した最適な構造設計を採用しました。
  2. 各国の系統連系に対応可能なFRT機能を搭載
    各国の系統連系要件は改定が進められていますが、社内にあるFRT試験装置を活用し、各国の系統連系に従った評価試験が実施可能です。
  3. 小型軽量化を実現した水冷方式の採用
    主要部品は水冷方式を採用し、効率的な冷却方法により、盤の軽量化を実現しました。

再生可能エネルギー需要がますます高まる中、今後の普及が期待される洋上風力発電。安川電機は、実績のあるパワー変換技術で、洋上風力発電の発展に貢献していきます。

解説のポイント

  1. 洋上風力発電は陸上に比べてより大型の風車を設置でき、発電効率を上げることができる。
  2. 日本では地理的要因から洋上風力発電のニーズがある。2019年の法施行により各地で計画が進んでいる。
  3. 安川電機では実績あるパワー変換技術を活かした大型風車に対応した製品をラインアップしている。