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23年、半導体不足は解消された?
半導体・製造装置の市場動向と
生産性向上ソリューションを紹介

2023.11.21

豆大福先生への質問 豆大福先生への質問

この数年、半導体不足が深刻化していましたよね。
今後の半導体市場の見通しはどうなるのでしょうか?
また、半導体製造・装置メーカーとして生産性向上の方法はありますか?


豆大福先生

2021年、世界的な半導体不足に陥ったことは記憶に新しいですが、2023年は業界や用途によって供給過多と不足が入り交じる状況となりました。しかし半導体の需要は今後も拡大するとみられ、半導体製造・装置メーカーには引き続き生産性向上が求められています。今回は、刻々と変化する半導体・製造装置の市場動向と、生産性向上に向けたソリューションをご紹介します。


半導体不足の状況は?PC・スマホ向けは供給過多、自動車業界では不足

半導体イメージ

2021年に顕著になった世界的な半導体不足。当時は、「(コロナ禍での)リモートワークや巣ごもりによるパソコン等用途の需要増加」「自動車売上の急回復(新車需要の高まり)」「米国による対中制裁」を大きな要因として半導体が不足しました。

その後2022年には、在宅特需が一巡して購買意欲が落ち着いたこと、世界的なインフレや地政学的リスクの高まりによって、半導体需要は22年途中から多くの用途・製品で需要が失速しました。

そして2023年現在、半導体不足の状況は業界や用途によって異なっています。例えばパソコンやサーバーなどで使用されるメモリ市場は需要減に伴って供給過多に、一方で自動車・産業機器向けには不足しているとみられています。

世界の半導体需要予測 23年はマイナス成長、24年は回復へ

では、今後の見通しはどうでしょうか。2023年6月6日に世界半導体市場統計(WSTS)が発表した春季半導体市場予測では、2023年の世界半導体市場は前年比-10.3%というマイナス成長予測であるものの、2024年には前年比+11.8%と市場が再拡大するとみられています。

半導体 世界製品別市場予測

*出典:WSTS日本協議会,「WSTS 2023年春季半導体市場予測について」,<
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20230606WSTS.pdf>(最終閲覧日:2023年11月9日)

WSTSによれば、2023年のマイナス成長予測には、「スマートフォンやパソコン、民生機器などの需要低迷が影響」しているものの、一方で「自動車用途や再生エネルギー関連用途は引き続き需要が強い」とみています。製品別に見ると、上記の理由からメモリを筆頭にマイナス成長予測であるものの、パワーディスクリートは成長継続の予測。また、ChatGPTに代表される生成AIの需要の高まりにより、「一部のロジック半導体需要を押し上げる」と予測しています。

2024年は世界景気が回復に向かうという前提の下で、ほとんどの用途・製品でプラス成長を見込んでいます。

日本の半導体市場は?

日本の半導体市場動向は2022年からプラス成長が続くと予測されています。2022年は前年比+31.7%、2023年は自動車用途が下支えするものとして+1.9%の成長を予測しています。さらに2024年は+7.8%と再加速する予測です。

半導体製造装置の販売高も24年、25年で増加見込み

半導体製造装置の需要も2024年以降回復傾向の予測です。2023年7月6日に日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した、2023年度~2025年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測*では、2023年度の日本製装置販売高は、前年度比23%減の3兆201億円と予測されています。

しかし2024年は「ロジックやメモリの市況回復に加えて、各国政府の支援が投資回復を後押しする」ことを見込み、前年比30%増の3兆9,261億円を予測。2025年度も引き続き堅調な投資が継続され、10%増の4兆3,187億円と予測しています。

半導体製造装置 日本製装置販売高予測

*出典:一般社団法人日本半導体製造装置協会, 「2023年7月発表 半導体・FPD 製造装置 需要予測 (2023年度~2025年度) 」,<
https://www.seaj.or.jp/file/seajforecastjuly202307_j%28forpress%29.pdf>(最終閲覧日:2023年11月9日)

2023年の半導体、製造装置の需要は落ち込んだものの、今後の市場は回復傾向にあります。世界的に加速するDXやGX(グリーントランスフォーメーション)により、長期的な需要傾向は続くと期待されていますね。

半導体製造・装置メーカー向け生産性向上ソリューション

今後もプラス成長が予測される中、半導体メーカー・製造装置メーカーにはさらなる生産性向上が求められています。安川電機では最新のウエハ搬送用クリーンロボットやACサーボドライブなどの豊富な製品ラインアップで、半導体製造を支えるトータルソリューションをご提案しています。

12月13日(水)~15日(金)に東京ビッグサイトで開催される、半導体産業における製造技術、装置、材料などが結集するエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2023」では当社も出展し、実演を交えてソリューションをご提案します。ここからは、その見どころをご紹介します。

前工程向け:最新のウエハ搬送用ロボットによる低振動搬送

成膜やエッチングといった半導体製造の前工程において、クリーンロボットによるウエハの低振動搬送をご提案します。

安川電機の真空搬送ロボット、大気搬送ロボットのSEMISTAR-GEKKOシリーズは、ロボットのアームに減速機を必要としないダイレクトドライブ(DD)駆動により、高精度搬送と振動低減を同時に実現しています。

また、ウエハへのダメージ低減も特長です。ウエハへのストレスの少ないパッシブグリップ式エンドエフェクタを採用。高精度に加え、"ダメージレス"かつ"高速"なウエハ搬送を実現します。

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前工程向け:高速・高精度かつ柔軟なサーボ主体のウエハ搬送システム

サーボを主体とした大気搬送のサーボシステムをご提案します。クリーンシステムまとめが可能なパートナーSIにより、お客さまの装置プロセスに応じた柔軟な搬送レイアウトが可能になります。

システムの主体となるACサーボドライブΣ-Xは、高速・高精度な制御が特長です。さらに2軸一体/3軸一体といった多軸による省スペース化が可能に。センシングデータ活用により予防保全や衝突検知にも対応できます。

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トータルソリューション :高精度なデータ解析と上位コントローラの負荷軽減

最新のΣ-Xシリーズより、センシングデータカスタマイズ機能を搭載した用途最適形FT55、FT56仕様をご紹介します。従来はコントローラで行っていたデータ処理をサーボで完結することで、高精度のデータ解析とコントローラの負荷分散を実現します。

一般的に、装置で発生するデータは、コントローラやさらに上位のシステムに集められますが、通信周期の影響を受けるため、指令の遅れにより意図しないダメージが発生する恐れがあります。

Σ-X FT56仕様を使用することで、衝撃にデリケートなワーク・設備において、接触を検知次第、直ちに停止もしくは安全位置に退避させる動作をコントローラの指令を待つことなく実行できるため、接触発生による影響の最小化が可能です。

要求品質アップに伴う検査精度向上やトレーサビリティー情報の充実、次期装置開発のためのデータ取得、データに基づくモーション制御に貢献します。

ぜひ展示会会場でご覧ください!

SEMICON Japan 2023でソリューションをご提案!

当社も出展する「SEMICON JAPAN 2023」への入場には、主催者サイトから事前登録が必要です。また、出展製品に関するお問い合わせはページの下にあるフォームよりご連絡ください。皆さまのご来場を心よりお待ちしております。

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解説のポイント

  1. 2021年に顕著化した世界的な半導体不足は、2023年には業界・用途によって供給過多と不足が入り交じる状況に。自動車・産業機器業界では引き続き不足している。
  2. 2024年以降はほとんどの用途・製品でプラス成長が予測されており、半導体製造・装置メーカーにはさらなる生産性向上が求められている。
  3. 安川電機では、最新のウエハ搬送用クリーンロボットやACサーボドライブなどの豊富な製品ラインアップで、半導体製造を支えるトータルソリューションを提案している。

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