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2019.03.12

野菜自動生産システムを開発 安川電機が”農と食”に取り組む理由とは

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安川電機が野菜工場を手がけているとニュースで知りました。
産業機械メーカの安川電機が農業に取り組んでいるのはなぜですか?

安川電機と農業、一見関連性がないように感じられますよね。今、日本の農業分野・食品製造分野は就業者の人口減少や高齢化、重労働といった問題を抱えています。その一方、人手に頼る作業が多く自動化が遅れている状況です。そこで安川電機は、得意とする産業自動化の技術を農業や食品製造に活用できないかと、様々なソリューションを開発しています。今回は安川電機の“農と食”への取り組みをご紹介しましょう。

就業人口は20年で半減…農業を取り巻く問題と”スマート農業”

日本の農業の現場では、担い手の減少や高齢化が進み、労働力不足が深刻な問題の一つとなっています。農林水産省「2015年農林業センサス」によると、平成27年の農業就業人口は210万人で平成7年に比べ約半減。その全体の76.8%が60歳以上という状況です。一方で農林水産業の分野には、人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く残っていることも課題です。

そうした状況の中、農林水産省はロボット技術やICT技術などの先端技術を活用した「スマート農業」の取り組みを進め、作業の自動化や若手農家への技術継承、高度な農業経営の実現を目指しています。その研究はすでに進んでおり、日本政府が提唱する「Society 5.0」の一分野として、本格的な実証事業が始まろうとしています。 参考資料:農林水産省(2019年2月)「スマート農業の展開について」

安川電機が野菜作りを手がける理由は? キーは”自動化技術”

こうした状況の中、なぜ産業機械メーカである安川電機が野菜生産を手がけているのでしょうか?

安川電機は、長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、新たな領域におけるビジネスを創出し、事業の柱の一つと位置付け「食」の生産自動化に注力しています。農業、食品産業が抱える課題を背景に、安川電機が得意とする産業自動化の技術を活用し、「農」の工業化から「食」の自動化までソリューション開発に取り組んでいるのです。

この取り組みの中で開発された野菜自動生産システムでは、安川電機のモーションコントロール技術、ICT技術、ロボット制御技術といったコア技術を結集し、栽培作業(種まき、間引き、移植、収穫)の自動化を実現しています。

2018年8月には、野菜自動生産システム用装置の生産・販売を主力事業とする新会社 株式会社FAMS(以下、FAMS)を100%出資で設立しました。

コア技術を結集! 野菜工場で野菜ができるまで

それでは実際に、安川電機が開発した野菜自動生産システムの工程を見てみましょう。

まずは播種(作物の種をまくこと)。モーション制御によって、正確にコマ(樹脂製の土台)に播種していきます。播種したコマを、最適な環境に制御された育成レーンへ投入し育苗=種から発芽させ苗をある程度の大きさまで育てます。

育苗した苗は生育状態をセンシング技術で判別。不良苗は間引きし、良苗は育苗レーンから生育レーンへと移植します。生育レーンでは作物の生育段階に合わせ、間隔や照明が制御されています。また良品生産を実現するために最適な養液の制御も行います。こうして、露地栽培よりも短い期間でバラツキの少ない良品を収穫できます。

こうした自動化のメリットは、人手作業による異物混入リスクの低減や品質のバラツキ低減、さらに気候に左右されることなく野菜を安定生産できることです。もちろん、就業者の人口減少や高齢化への対応、重労働からの解放にもつながります。

また野菜自動生産システムでは、ICT技術で栽培をモニタリングし常に生育に最適な環境を制御しているため、安定して高品質を確保できます。

モーションコントロール制御と環境制御が大活躍!この工場で作られる野菜には、安川電機が培ってきた産業自動化の技術が詰まっているんですね。

ロボットによる食品自動化装置にも注目

農業だけでなく、食品産業でも人手不足は深刻な問題です。FAMSでは安川電機ならではのロボット技術を活かした食品自動化装置も幅広く手がけています。製品の整列、包装、ケーサー、パレタイザーなど、それぞれに清潔で最適なロボットを採用し、一連のシステム提案を行っています。

1. スマートロボット包装
コンテナ内の食材をコンベヤに投入するだけで、後はロボットが包装機に合わせて整列、盛り付け。高速かつ指定の整列・盛り付けパターンに対応します。

2. ロボットケーサー
ケーサーとは箱詰めから封函(ふうかん)までを行う装置のこと。ロボットが対象物を優しく箱詰めします。様々な詰め方に対応しています。

3. カップケーサー
シールされたカップを梱包単位にすばやく整列、仕切りを入れて、高速に箱詰めを行います。

4. パレタイザー
パレタイジング専用ロボットを用い、指定の積み付けパターンで製品を高速かつ安全に搬送します。操作が簡単で、ボタンを押すだけの自動運転であることもポイントです。

安川電機とFAMSの技術力を結集し、農業・食品製造業界のお客様へ業界初のソリューションを提供していきます。ソリューションの詳細やお問い合わせについては、FAMSのホームページをご覧ください!

解説のポイント

  1. 農業や食品製造の現場では深刻な人手不足と自動化の遅れが課題に。安川電機では製品で培った技術を活かして、「食」の生産自動化に取り組んでいる。
  2. 農業や食品製造の現場では安川電機は安定して野菜を大量生産できる野菜自動生産システムを開発。
  3. 新会社を設立し、ロボット技術を活かした食品自動化装置も手がけている。

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