メカトロよろず相談所 豆大福先生に聞いてみようよ メカトロよろず相談所 豆大福先生に聞いてみようよ

豆大福が大好きな通称"豆大福先生"が
安川電機の製品にまつわる疑問や業界の
トレンドをわかりやすく解説します。

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

最近、医療・介護・福祉機器の開発の話題をよく聞きます。
注目されている理由や、国内での課題はなんでしょうか?

高齢化の進展と介護者の人手不足が深刻化する日本。それによって医療・介護・福祉機器のニーズが急速に高まり、安川電機も開発に取り組んでいます。これらの機器の開発・導入にまつわる国の施策や介護現場の課題などについて考えてみましょう。

2.6人に1人が65歳以上の高齢者に 介護者の負担低減が急がれる

医療・介護・福祉機器への注目が集まっている最大の理由は高齢化です。現在でも介護の人手不足が叫ばれる中で、2025年には65歳以上の人口が30%に達するといわれています。

日本の高齢化の推移と将来推計

※平成29年度版高齢社会白書 (内閣府) を基に当社作成

総人口が減り続ける中で高齢化率は上昇し続け、2065年には国民の2.6人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されています。

人類の歴史で誰も経験したことのない超高齢社会に備え、介護者の負担を低減するために、単純作業や重労働からの解放を目的とした機器のニーズが高まっているというわけです。

また、ロボット技術の進歩も大きく、失われた身体機能を補う装置が実用的なものになってきため、医療、介護、福祉のいろいろな場面で注目されるようになってきたことも理由のひとつです。

普及は進むか? 国内での課題は…

日本では国として開発や普及を後押ししています。政府が打ち出した未来投資戦略2017の中でも、「ロボット・センサなどの技術を活用した介護の質・生産性の向上」などをキーワードに挙げ実証を実施しており、2017年秋頃からはロボット介護機器の開発・本格導入の実現を進めるとしています。

価格やレンタル料がまだまだ高い製品も多くありますが、世の中で利用してもらう台数が増えれば、結果的には製造コストが下がることにもつながります。製造コストが市場の求める価格に近付くことで、本格的に普及が進むとも考えられているのです。

心理的ハードルをとりのぞくことも課題に

コスト以外にも課題はあります。「介護は家族が行うもの」「人の手のぬくもりを感じる介護が良い介護」という考えが日本に根付いている部分もあり、装置を使った介護に抵抗がある人も少なくないということです。介護業界や利用者の心理的ハードルを取り除くことも普及のカギといえるでしょう。

介護業界はハードワークです。機器やロボットを利用することで、体力的な負担とともに精神的な負担も低減でき、さらに人に寄り添った介護ができるという提案が求められています。

こういった課題を克服すれば、医療・介護・福祉機器やロボットの市場は広がる見通しです。

安川電機も医療、介護、福祉機器を製品化

国を挙げての開発、導入が急がれる中、安川電機でも医療・介護・福祉機器を既に製品化しています。

理学療法士が行う下肢のリハビリ動作の一部を再現できる「下肢用リハビリ装置LR2」は、同じ動きを繰り返し行うロボットの得意とする動作を活かした医療機器です。訓練開始時に療法士が股関節、膝関節、足関節を屈伸させる角度を設定した後は、LR2が設定された時間まで繰り返し動作を行います。
下肢用リハビリ装置LR2の製品ページへ

また、「もう一度歩きたい」という声に応える機器として注目を浴びているのが、ReWalk Robotics社(イスラエル)が開発したReWalkです。脊髄を損傷したことによって下半身が動かなくなり車いす生活を余儀なくされた人でも歩くことが可能となる装置で、安川電機がアジア圏の販売権を得ています。
ReWalkの製品ページへ

2017年には、上肢の自動運動をサポートし反復訓練を行う「上肢リハビリ装置 CoCoroe AR2」も製品化されました。安川電機が得意とするモータ制御の技術を活かし、脳血管疾患、整形疾患などによる上肢運動機能障害を持つ方を対象に、電気・振動刺激を併用しながら上肢(肩・肘)の自動運動をサポートする装置です。
上肢リハビリ装置 CoCoroe AR2の製品ページへ

なぜ安川電機が医療・福祉分野に?

安川電機が産業自動化分野で培ったロボット技術は、医療・福祉分野に応用することができます。安川電機は2025年に向けたビジョンとして、アライアンスや産学官連携等オープンイノベーションを活用し、先進的な医療・福祉機器を創造することを掲げています。

そして、メカトロニクス技術と人間の能力を融合し、生活の質を高める機器を「ヒューマトロニクス機器」と呼び、販売する医療・福祉機器市場に向けた機器・コンポーネントを「CoCoroe(ココロエ)」ブランドとして展開しています。

CoCoroeサイトではCoCoroe製品情報や導入事例を紹介しています。

安川電機は今後も、医療・介護・福祉機器を充実させていきます。

脳卒中などによって歩行障害のある方に対して、足関節の動きをモータでアシストし、歩容改善と歩行機能の回復を実現する「足首アシスト装置」や、座位のとれない要介護者のベッドと車椅子との移乗を手助けする「移乗アシスト装置」、ベッドからの立ち上がり介助から歩行支援までの一連の動作を一つの装置で可能にした「屋内移動アシスト装置」などをラインアップする予定です。

安川電機の医療・介護・福祉機器情報サイト「CoCoroe」にぜひ訪れてみてくださいね。

解説のポイント

  1. 1.超高齢化社会の到来を前に、介護者の負担を低減する機器のニーズが高まっている

  2. 2.製造コストの低下、機器利用者の心理的ハードルを下げることが普及へのカギ

  3. 3.安川電機では産業自動化分野で培った技術を活かし、医療・福祉機器を開発している

お問い合わせフォーム