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誘導モータとPMモータの違いとは?
モータ置き換え事例と省エネ・
コスト削減効果を解説!

2021.09.22

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

誘導モータを使用していますが、環境への対応や消費電力量が気になります。
そんな中、「PMモータは省エネ」であると聞き、置き換えを考え始めました。
PMモータには、具体的にどんな特長や効果があるのでしょうか?


豆大福先生

環境問題の深刻化や産業用モータのエネルギー効率の規制強化などを受け、高効率・省エネの特長を持つ「PMモータ」が注目されています。今回は誘導モータとPMモータの違いや特長、PMモータを搭載した機械の事例と効果について解説していきましょう。


PMモータとはどんなモータ?誘導モータとの違い

(図1)誘導モータとPMモータ 特徴の比較
(図1)誘導モータとPMモータ 特徴の比較

PMモータとは、モータに交流通電する「ACモータ」のうちの「同期モータ」に分類され、さらにその中で、ロータ(回転子)部分に永久磁石(Permanent Magnet)を使用するものを指します。樹脂・ゴム成形機、クレーン、コンプレッサ、金属加工機、印刷機械、ファン・ポンプなどの用途に適しています。

同じACモータである「誘導モータ」とPMモータとの大きな違いは、「効率」です。PMモータは誘導モータに比べ、高効率で省エネルギーであることが特長です。

その理由はモータの発生ロスによります。モータの発生ロスは、モータ入力電力とモータ出力の差です。PMモータは「二次銅損」がないため、このモータ発生ロスが小さく高効率となります。

(図2)モータの発生ロスメカニズム
(図2)モータの発生ロスメカニズム

また、モータの効率は、5段階の「効率クラス」(下図3)が定められており、この効率クラスが上がるほど、消費電力量やCO2の大幅削減を実現できます。

国内では産業用モータには「IE3 (プレミアム効率モータ)」クラスが求められていますが、PMモータはその中でも「IE3」「IE4 (スーパープレミアム効率モータ) 」「IE5(ウルトラプレミアム効率モータ)」という高いクラスに該当しています。これが誘導モータとの大きな違いであり、環境問題が深刻化する中、PMモータへの置き換えが注目されている理由でもあります。

安川電機では、この「IE4」に迫る高効率を実現した、エコPMモータ「SS7」(IPMモータ)を販売しています。

(図3)産業用モータの効率クラス
(図3)産業用モータの効率クラス

▼モータの分類、特徴の比較はこちらの記事でも詳しく紹介しています。

モータの分類、特徴の比較PMモータってどんなモータ?性能を最大限に引き出すには?(2019/4/9)

PMモータの使用で機械はどう変わる?省エネ・コスト低減・小型化の効果

PMモータを使用することで機械がどのように変化するのか、安川電機のエコPMモータ「SS7」の紹介を通してPMモータの特長と効果を解説します。

高効率で省エネ、ランニングコストを低減

誘導モータに比べ高効率であることが特長のPMモータ。SS7は、国内で産業用モータに求められている効率クラス「IE3 (プレミアム効率モータ)」を超え、「IE4 (スーパープレミアム効率モータ) 」に迫る高効率を実現しています。
特に7.5kW以下の出力では、「IE4」をしのぐ効率を発揮しています。

(図4)誘導モータとエコPMモータ(SS7)の効率値比較
(図4)誘導モータとエコPMモータ(SS7)の効率値比較

この高い効率によって、誘導モータに比べてランニングコストを低減できます。「IE1」クラスの誘導モータ からSS7に置き換えた場合、電力料金は年間で約14万円の節約、CO2は約5,000kgの削減が可能となります。(図5)

置き換えには初期投資が発生しますが、継続使用した場合のランニングコストを比べてみるとPMモータのメリットを感じられるのではないでしょうか。

(図5)誘導モータとSS7の電力量、電気料金比較
(図5)誘導モータとSS7の電力量、電気料金比較

小型・軽量で省資源化

安川電機のPMモータ「SS7」は、小型・軽量であることも大きな特長です。機械を小型化し、省資源に貢献することができます。

まずは外形の小ささを比較してみましょう。132kW/1,750min-1の例では、誘導モータに比べて枠番号が4枠ダウンしています。

(図6)誘導モータ・SS5シリーズとSS7シリーズの外形・枠番号比較
(図6)誘導モータ・SS5シリーズとSS7シリーズの外形・枠番号比較

また、質量は誘導モータと比べて、37kW/1,750min-1では約64%軽量、132kW/1,750min-1では約47%軽量です。

(図7)誘導モータとSS7モータの質量比較
(図7)誘導モータとSS7モータの質量比較

高効率で省エネルギー、小型・軽量で省資源に貢献できるPMモータを使用することで、現在お使いの機械を、これからの環境に対応した機械に変えることができます。

PMモータ導入事例―インバータとの組合せで効果を最大化!

こうしたPMモータの特長を活かした、実際の機械への導入事例とその効果を解説します。PMモータの特長を最大限に引き出すため、最先端のモータ制御を有する高性能インバータGA700と組み合わせた事例です。

事例1:油圧ポンプ
商用電源駆動の誘導モータから、インバータ駆動のPMモータに置き換え、大幅省エネ

●背景と課題

油圧ポンプの誘導モータを商用電源駆動し、油量をバルブで調節して圧力を制御していましたが、消費電力が大きいという課題がありました。

●ソリューションと効果

商用電源駆動の誘導モータから、高性能インバータGA700でSS7モータ(200V/45kW)を駆動させる組合せに変更し、省エネ効果を最大化しました。その結果、誘導モータの使用時に比べて、年間の消費電力を半分以下に削減できました。

(図8)油圧ポンプのPMモータ置き換え事例と効果
(図8)油圧ポンプのPMモータ置き換え事例と効果

事例2:自動車試験機
モータの小型化、GA700との組合せで高効率・省エネドライブ

●背景

ノイズ試験や騒音試験があるため、低騒音な試験環境を構築したいという背景がありました。

●ソリューションと効果

PMモータと高性能インバータGA700の組合せにより、高精度かつ高応答なトルク制御を実現しました。

(図9)自動車試験機のPMモータ導入事例と効果
(図9)自動車試験機のPMモータ導入事例と効果

エネルギー問題や環境問題が深刻化する中、PMモータは省エネ・高効率の特長からますます注目度が高まると予想されます。誘導モータからPMモータへの置き換えやGA700との組合せによる省エネ効果、事例の詳細などについては、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

解説のポイント

  1. 環境問題が深刻化する中、誘導モータに比べて高効率で省エネルギーである「PMモータ」の需要が高まっている。
  2. 誘導モータからPMモータに置き換えた場合、機械の消費電力量やCO2排出量を大幅に削減することが可能。
  3. 安川電機のPMモータは油圧ポンプや自動車試験機などに採用され、高性能インバータの組合せで効果を最大化できる。

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