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がんゲノム診断って何?
ロボットが貢献する最先端医療(前編)

2020.4.21

豆大福先生への質問豆大福先生への質問

最近、ニュースや新聞で「がんゲノム診断」という言葉を耳にします。安川電機も取り組んでいると聞きましたが、そもそもがんゲノム診断とは何ですか?

「がんゲノム診断」とは、患者さんのがん組織の遺伝子を分析し、がんの原因を調べるための検査です。将来的ながんのリスクや、今がんに罹っているかを調べる検査とは異なります。安川電機のロボットも活用されている、がんゲノム診断について解説しますね。


がんゲノム診断とは?

「がん」とは、遺伝子が変異、つまり遺伝子配列の後天的な異常により発生する病気です。がんゲノム診断とは、患者さんからがん組織を採取し、遺伝子のどこが変異してがんの原因になったかを調べる検査のことです。遺伝子を検査するというと、「将来がんになりやすい遺伝子を持っているかどうか」や「今がんに罹っているかどうか」を調べるイメージがあるかもしれませんが、これらとは手法や目的が異なります。
「がんゲノム診断」は、がんに罹ってしまった後に遺伝子レベルで原因を調べ最適な治療につなげるための診断方法です。

従来は、胃がんにはこの薬、肺がんにはあの薬というように、臓器ごとに決められた抗がん薬の中から治療に使う薬の選択が行われてきました。新薬の開発や治験も罹患した臓器ごとに行われています。

ところが、ゲノム医療の発達により、抗がん薬の効き目は臓器ごとではなく遺伝子の変異のタイプで決まってくることが分かってきました。
例えば、乳がんの治療薬として認可されている薬で、肺がんが完治する例があります。この患者さんの場合、乳がんによく見られるタイプの遺伝子変異が肺に発生していたため、乳がんの抗がん薬で効果があったのです。

がんゲノム診断で何が変わる?

ゲノム医療の発達は、抗がん薬による治療と治験の考え方に大きな影響を与えます。

① 抗がん薬による治療
治療を受ける患者さんにとっては、がんのタイプに合った抗がん薬の治療を受けることができ、大きな治療効果が望めるだけでなく、薬の副作用の軽減につながり、闘病生活の質(QOL)を高めることにもつながります。

ただ、遺伝子変異は多様ですので、現在の医学では推奨される薬や治療方法が見つからない場合もあります。全ての遺伝子変異タイプに対して、効果のある治療薬を選択できるようになるには、より多くの症例と遺伝子変異を関連づける精度の高いがんゲノムのデータベースを作り、将来の治療薬の開発につなげることが重要なのです。

② 治験の考え方が転換
遺伝子変異のタイプで薬の効き目が変わることが解明されてきたことで、治験の考え方も変わろうとしています。従来の治験では、特定の臓器の治療薬として認可を行うため、例えば胃がんの治療薬として認可を受ける場合は胃がんの患者さんを無作為に集めて治験を行います。ところが、胃がんの原因となっている遺伝子変異タイプが1種類ではないとすると、たとえば効果が出る患者さんが3割、出ない患者さんが7割のようになり、明確に効果があると認められず認可されない場合もあったのです。

遺伝子の変異タイプを分けて患者さんを集め治験を行えば、効果が大きい新薬の開発・認可の劇的なスピードアップが期待できるのです。

治験の考え方イメージ

がんゲノム診断をめぐっては、数百種類の遺伝子を検査する「パネル検査」が2019年6月に部分的に公的保険が適用されました。現在は標準的な治療を一通り終えた患者さんに限られてはいますが、がん医療にとっては大きな一歩と言えます。

約2万種類の遺伝子を解析

安川グループのベンチャー「ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社」(以下、RBI)は、PleSSision-Exome(プレシジョン・エクソーム)検査という慶應義塾大学病院を中心とした「全遺伝子診断」の取組みに参画しています。

PleSSision-Exome検査は複数の企業が協力して行っています。まず、がんゲノム診断を実施している各病院ががん組織を採取し、RBIが解析の前処理を行います。さらに、遺伝子解析やデータ解析などを各企業が実施するスキームです。

約2万種類の遺伝子を解析イメージ
*2020年4月時点

がんゲノム診断には、がんゲノムのデータベースを作ることが重要と説明しましたが、PleSSision-Exome検査は、約2万種類の遺伝子を全て調べます。現在は自由診療(患者さんによる全額負担)ですが、より多くのデータを得られるため、長期的には将来の医療への貢献度も大きいのです。

有効な治療につなげるだけでなく、前述のようなゲノム情報に基づく治験による治療薬の開発の加速、そして次世代の治療に向けたがんゲノムのデータベース作りのために、当社としてもPleSSision-Exome検査を技術で後押ししたいと考えています。

次回は、PleSSision-Exome検査の工程にロボットがどのように関わっているのか、そして将来展望についても解説しますね。後編をご覧ください。

解説のポイント

  1. がんゲノム診断は、遺伝子変異のタイプを調べる検査
  2. ゲノムデータベースがあると、遺伝子変異のタイプにあった治療薬を開発・選択できるようになる
  3. 安川グループのベンチャーも参画するゲノム診断がある

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  • 株式会社安川電機 ロボット事業部 ソリューション技術部
    バイオメディカルロボット部推進課
    TEL: 03-5402-4560
    MAIL: robo_bio@yaskawa.co.jp
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