2010119日号

誰でもわかるサーボモータ入門 ~第1回「モータのしくみ」~
 

みなさん子供の頃にモータを使ったおもちゃで遊んだことがあると思います。
組み立てた線路の上を電車が走るおもちゃや、小さな四輪駆動の車のおもちゃ、船や車のラジコン、さらに工作で扇風機やロボットを作った方もいるかもしれません。
このようなおもちゃには必ず電池とモータが搭載されていました。

では、Σ-Vシリーズに代表される『サーボモータ』と、みなさんが子供の頃におもちゃで遊んだモータ。
どんなところが違うのでしょう。
形状も似ていますし、どちらも電気の力で回転するのは同じです。

今号と次号の2号に渡って、「サーボモータと一般的なモータは何が違うのか」ということを説明します。

それではまず最初に、モータが回る原理の基本である「磁石」について学んでいきましょう。

 

■磁石について
 

◆永久磁石

みなさん子供の頃に磁石でも遊んだことがあると思います。
釘や砂鉄などをくっつけたり、磁石と磁石を近づけてくっついたり反発したり、という事を憶えていることでしょう。

御存知の通り磁石にはS極とN極があり、違う極同士は引き寄せられ、同じ極同士は反発するという性質を持っています。

このような磁石を「永久磁石」といいます。

 

◆電磁石

電気を通せる細い金属の線導線をくるくると巻きます。これを「コイル」といいます。
この中に鉄の棒を入れて電気を流すと、磁力を発生し磁石となります。
これを『電磁石』といいます。
もちろん電磁石にもN極とS極が存在します。

永久磁石と同じ、NSの極ですが、電磁石の場合は電流の向きを変えるとN極とS極が入れ替わるという特徴があります。


■回転のしくみ
 

◆電磁石を回す

モータの回転はこの2種類の磁石を組み合わせて実現しています。

図のようにN極の永久磁石とS極の永久磁石を左右に配置し、 中心には電磁石を回転するように配置します。この回転する電磁石部分を「ロータ」と呼びます。

この状態でコイルに電流を流すと、同じ極同士が反発し違う極同士が引き合うために、ロータは回転して反対側を向きます。

しかしこれではロータの回転は止まってしまいます。
回転させ続けないとモータとは言えませんね。
ではロータを回転させ続けるにはどうしたらよいでしょうか。

引き合って止まりそうになる瞬間に、コイルに流す電流のS極とN極を入れ替えたらどうでしょう。

電池の向きを逆にすると、N極とS極が入れ替わり、それまで引き寄せられていた極と極が反発する極同士に変わり、同じように反発し合っていた極と極が引き寄せられる極同士に変わります。
これで 回転運動を続けることができます。

 

◆ブラシとコミュテータ

さらに、電池を回転させずに極を入れ替えるため、ブラシコミュテータという部品を使用します。

下図の、ロータと一緒に回転している円盤をコミュテータ、コミュテータの両側に触れている線をブラシと呼びます。
コミュテータは2つに分割されており、それぞれがコイルの両端と繋がっていて、ブラシから流れてくる電流をコイルに送ります。
分割されていることで、回転によってブラシとの接触側が入れ替わり、コイルに送られる電流の方向が変わります。そのため、電池の方向を変えずに電磁石の極を変えることができます。

これがモータの回転原理です。

 

■モータのしくみ
 

実際のモータは、この原理を応用し、このような構造になっています。

ロータとコミュテータが3本の構造になっています。
このようにすることで、コミュテータの切れ目が無くなり、コイルへ常に電流が流れます。
もちろん電流の向きを逆にすればロータは逆方向に回転します。

このアニメーションのように、正転の場合は上半分は常にN極、下半分は常にS極になるように電流を流し、逆転の場合は上半分が常にS極、下半分が常にN極になるように電流を流して、ロータを回転させているのです。

これがモータの基本構造です。
次回は、このようなモータとサーボモータとの違いを説明します。

 

         

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