■第5話 「リニアモータとはどんなものか?」 |
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入間君 |
う~ん、どうしよう。 |
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豆大福先生 |
どうしたんだい?入間君。 |
入間君 |
あ!豆大福先生!お久しぶりです! |
豆大福先生 |
今度は何をそんなに悩んでいるのかな? |
入間君 |
お客様にリニアモータについて説明して欲しいといわれたのですが、リニアに関する知識があまりないので説明に自信が持てなくて困っています。
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豆大福先生 |
なんだい。そんな事ならば私が説明してあげよう。 |
入間君 |
ありがとうございます。
早速質問があるのですが回転型のモータとリニアモータの違いは何ですか?
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豆大福先生 |
回転型のモータは固定子の中で回転子が回転運動をするけど、リニアモータは固定子の上を可動子が直線運動をするんだよ。 |
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リニアモータにはリニアモータ単体とリニアモータ、リニアガイド、リニアスケールが一体となったリニアスライダがあるんだよ。単体の場合はリニアスケールやリニアガイドはお客様準備となることだね。

○:安川電機販売 ×:お客様準備
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リニアスライダは、そのままお客様の機械に装着できる為、お客様の機械設計、調達、組み立てなどのリード タイムを大幅に削減することができて、お客様にも大変喜ばれているよ。
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入間君 |
リニアモータの種類はどのような物があるのですか? |
豆大福先生 |
リニアモータを大きく分けると、シリンダ型とフラット型の2種類があるね。 |
入間君 |
それぞれどんな構造になっているのですか? |
豆大福先生 |
シリンダ型は、固定子が円柱のマグネット(磁石)でつながっていて、可動子がコイルになっていて、そのコイルに電流を流す事によって磁場が発生して動くんだよ。
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フラット型には、固定子がマグネット(磁石)で可動子がコイルのMC型と、固定子がコイルで可動子がマグネット(磁石)のMM型があるんだよ。MC型にはコアレスタイプとコア付きF形、コア付きT形の3種類の構造があるんだ、ちょっと説明が長くなるけどいいかな? |
入間君 |
はい!よろしくおねがいします。 |
豆大福先生 |
コアレス形は薄くてコンパクト、小、中推力向けだね。コギングがないので精密送り用途に最適なんだ。磁気吸引力が無いので機構設計が簡単で、さらに低騒音でガイドが長寿命なんだ。
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コア付きF形は中、大推力向けだね。フラットタイプだから、省スペース向けなんだ。漏れ磁束が大きく磁気吸引力を考慮したガイド選定が必要になるよ。吸引力に伴うガイド摩擦力により減速推力を小さくできるんだ。
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コア付きT形は中、大推力向けだね。動きがなめらかで、当社独自の磁気吸引力相殺構造により、ガイドへの加圧も小さくて、ガイド及び機械強度への配慮が軽減できるんだ。しかも、吸引力が相殺される為、低騒音なんだよ。
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入間君 |
よく比較されると思いますがリニアモータと回転型+ボールネジ機構の違いは何ですか。 |
豆大福先生 |
リニアモータはボールネジ駆動と比較した時に色々なメリットがあるんだよ。 |
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ボールねじには速度制限があるけど、リニアモータにはそれが無いので5m/sの高速動作が可能 |
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高分解能のリニアスケールを使って負荷を直接駆動する為にサブミクロンレベルの高精度な位置決めができる |
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固定子を多数つなぐことでロングストローク化が容易に可能 |
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「加速度=推力/(負荷質量+モータ可動子質量)」の式で表されるように
負荷を軽量化することで加速度が大幅にアップ可 |
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周辺への熱伝導が極めて小さい為、高い位置決め精度を保つ事が出来る |
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一つの固定子上に複数の可動子を設置できるのでシンプルな構成で複雑な動作が可能 |
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機械的な接触部分が少なくので騒音は極めて小さく、メンテナンスフリー |
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回転部がなくグリースの飛散がない為、クリーンな作業環境を容易に実現 |
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入間君 |
へ~、リニアモータはお客様の機械を高性能化しようとした場合に良いことばかりですね。 |
豆大福先生 |
そうだが、デメリットもあるのだよ。
ギヤが取付けられないので大きい負荷の場合にモータが大きく・重くなる為、機械が大きくなってしまうことや、ストロークが長くなればそれだけ磁石が必要となるので回転型に比較して値段が高いことがあるね。
だから用途に合わせて回転型かリニアモータを検討する必要があるのだよ。 |
入間君 |
たまに出てくる用語なのですがホールセンサとは何の事ですか? |
豆大福先生 |
モータの磁極を検出するセンサで、モータのU相、V相、W相のどこにいるかを検出するためにあるんだよ。モータをスムーズに動かす為にはモータの磁極を検出してそれに応じた電流を流す必要があるんだよ。
もし、ホールセンサが無い場合は磁極検出動作を行うことで、ソフト的に磁極を計算してから動かす必要があるんだよ。 |
入間君 |
わかりました。ところで他に周辺機器で必要な物はありますか? |
豆大福先生 |
リニアスケールとサーボパックの間に入るシリアル変換器が必要だね。
リニアスケールから出力される信号をシリアルデータに変換しないとサーボパックはその信号を受け取ることが出来ないんだよ。リニアスケールには色々な信号タイプがあるから、それに合わせてシリアル変換器を選ばないといけないね。 |
入間君 |
リニアはどのような用途に使用されるのですか? |
豆大福先生 |
電子部品実装機、半導体製造装置、液晶製造装置、機械内搬送部分、工作機械等のいろんな分野に用いられているよ。 |
入間君 |

最近ではリニアモータはいろんなところで使用されているのですね。
リニアの知識が向上したのでお客様に説明できる自信がついてきました。
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豆大福先生 |
それはよかった。リニアはまだ新しい技術で、よく知らないお客様も多いから、しっかり説明出来るように頑張って勉強しておくんだよ。 |
入間君 |
はい。今日はいろいろと教えていただきありがとうございました。 |
豆大福先生 |
さて、一件落着したところで、今日も大福を食べるとするかな… |