■第3話 「MECHATROLINKによる多軸サーボシステムについて」 |
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竹芝さん |
う~ん、どうしましょう |
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豆大福先生 |
どうしたのかね、竹芝さん |
竹芝さん |
あ!豆大福先生!お久しぶりです! |
豆大福先生 |
そんなに困った顔をしてどうしたんだい? |
竹芝さん |
お客様からMECHATROLINKを使用したシステム提案の要望があったのですけど…
MECHATROLINKがどんな物か、私あまり詳しくなくて困っています… |
豆大福先生 |
それなら私が詳しく説明してあげましょう。
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竹芝さん |
わぁ、ありがとうございます! |
豆大福先生 |
MECHATROLINKっていうのはモーション制御の得意なフィールドネットワークなんだけど、同一ネットワークにI/Oもつなげる、オープンなネットワークなんだよ。
現在、MECHATROLINKの規格は2つの種類があるんだ。
1つは通信速度が4Mbps(通信周期2ms)のMECHATROLINK-I、もう1つは通信速度が10Mbps(通信周期250μs~8ms)のMECHATROLINK-IIだ。
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MECHATROLINK-I |
MECHATROLINK-II |
伝送速度 |
4Mbps |
10Mbps |
最大伝送距離 |
50m |
最小局間距離 |
0.3m |
0.5m |
伝送媒体 |
2芯シールド付きツイストペア線 |
接続局数 |
最大15子局 |
最大30子局 |
トポロジー |
バス |
通信周期 |
2ms(固定) |
250μs~8ms |
通信方式 |
マスタ・スレーブ完全同期式 |
符号化 |
マンチェスターエンコーディング |
データ長 |
17バイト |
17バイト/32バイト
選択可 |
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どちらも、モーションとI/Oに対応しているので、同一の伝送路にサーボアンプやステッピングモータ、インバータ、I/Oを接続するシステムを構築できるんだ。 |
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竹芝さん |
MECHATROLINKにはどんなメリットがあるのですか? |
豆大福先生 |
多軸サーボシステムの配線工数削減が出来るんだよ。
今までであれば、サーボアンプと上位コントローラ間というのは、何本もの線で接続していたんだけど、MECHATROLINKは2本のツイストペアのケーブルのみの配線で済むんだ。 |
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サーボアンプ間、I/O間も、同じケーブルで数珠繋ぎに配線出来るので、制御盤内の配線もすっきりするんだ。 |
竹芝さん |
制御盤の中が美しくなるんですね。
他にもメリットはあるんですか? |
豆大福先生 |
上位コントローラが、サーボアンプの状態やI/Oの情報を把握する事が出来るんだ。 |
竹芝さん |
それは例えば、サーボアンプが過負荷になりそうな時、そのままアラームになって停止してしまうのではなく、運転パターンを変えて、アラームにならないように制御できるってことかしら? |
豆大福先生 |
そうだよ。また、通信周期毎の位置指令更新が可能だから、連続軌跡制御に適用可能なんだよ。 |
竹芝さん |
連続軌跡制御はコンタリングとか同期制御とも呼ばれますよね。 |
豆大福先生 |
そのとおりだよ。 |
竹芝さん |
そこまでの細かな制御を実現するということは、ケーブルはあまり長くできなさそうですね。 |
豆大福先生 |
いやいや、そんなことはないよ。
ケーブルの総延長距離は最大50m、リピータを使えば100mまで使用できるんだ。 |
竹芝さん |
それなら、例えば制御盤の外部の離れた所に1台だけサーボパックを設置したい、といった要求にも十分応えることができますね。
台数はどうですか? MECHATROLINK-IIで同一のネットワークに接続できるサーボアンプの台数に制約はあるんですか? |
豆大福先生 |
通信速度が2ms以上なら16台まで、通信速度が1msでは、9台まで接続することができるんだ。通信速度によって接続可能な台数が変化するので注意が必要だね。 |
竹芝さん |
I/Oはどうですか?
MECHATROLINKに接続出来るI/Oの台数にも制約がありますか? |
豆大福先生 |
安川電機のMP2000シリーズコントローラでは、MECHATROLINK-IIにI/Oは最大21台、サーボアンプは16軸までの機器が接続出来るんだ。 |
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MP2000シリーズ用
MECHATROLINKモジュール
SVB-01 |
マシンコントローラMP2200 |
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竹芝さん |
MECHATROLINK対応のマシンコントローラには、どんな製品が有りますか? |
豆大福先生 |
今言ったMP2000シリーズの他にも、他社PLCでもMECHATROLINKインターフェイスを備えていれば使用する事が出来るよ。 |
竹芝さん |
そもそも、MECHATROLINKを使ったら、どんなモーション制御が出来るんですか? |
豆大福先生 |
位置制御、速度制御、トルク制御ができるんだ。 |
竹芝さん |
お客様の機械では多軸サーボを同期させて使用したいとの要求があるんですが、これの実現は可能ですか? |
豆大福先生 |
MP2000シリーズなら位相制御モードで実現可能だね。 |
竹芝さん |
ん~、でも多軸になると通信の遅れが心配ですね。 |
豆大福先生 |
遅れ時間がどのくらいになるか知っているかい? |
竹芝さん |
高速通信制御を行っているわけですから、通信周期+コントローラのスキャン時間ということになるんでしょうか。 |
豆大福先生 |
うん、そういうことだ、さすが色々と勉強しているようだね。 |
竹芝さん |
ありがとうございます!
ところで、 お客様はラダー言語でのプログラミングに慣れていますが、このMECHATROLINKはラダー言語で指令する事が可能ですか?
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豆大福先生 |
MP2000シリーズはラダー言語でプログラミングできるよ。
サーボとの接続方法がアナログ電圧やパルス列から、MECHATROLINKに変わっても、プログラミングはラダー言語なので、書き方が変わることはないんだよ。 |
竹芝さん |
では、そこは安心していいんですね。
あと 例えば、上位コントローラとサーボアンプを接続する場合に、Σ-IIシリーズとΣ-IIIシリーズのサーボパックを同一回線上に混在して使用する事ってできるんでしょうか?
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豆大福先生 |
もちろんできるよ。
Σ-IIシリーズは、SGDH形サーボパックにJUSP-NS115という形式のアプリケーションモジュールを取付ける事によって、MECHATROLINKに対応できるんだ。 |
竹芝さん |
わぁ、それなら便利ですね。
ところで、多軸で使用する場合の注意事項はありますか? |
豆大福先生 |
MECHATROLINKは上位コントローラ(マスタ)で一括管理をするんだけれど、繋がっているサーボアンプ(スレーブ)に、局番号を付けて管理をしているんだ。だから局番号が重なったり、割り付けを間違えなければ簡単に多軸で使用することができるよ。
でもひとつ注意しなければならないことがあるんだ。 |
竹芝さん |
それはなんですか? |
豆大福先生 |
一番端に終端抵抗を接続する必要があるんだ。 |
竹芝さん |
終端抵抗を付けないとどうなっちゃうんですか? |
豆大福先生 |
ケーブル末端で信号が反射する為、動作が不安定な状態になり、ノイズに弱くなって、通信エラーになり易くなってしまうんだよ。 |
竹芝さん |
終端にも気をつける必要があるんですね。
そういえばMECHATROLINKのコネクタって、パソコンのUSBコネクタに似ていますけど、パソコンショップで売っているUSBケーブルは使えるんですか? |
豆大福先生 |
それはできないんだ。コネクタの形は同じでもケーブルの特性インピーダンスが違うんだ。もし使ったとしたら通信で異常が発生してエラーになってしまうだろうね。 |
竹芝さん |
ふむふむ。
先生、今日は 色々と細かく聞いちゃってすみません。 |
豆大福先生 |
いやいや、いいんだよ。
それにしても、今日はMECHATROLINKについて、だいぶ勉強したね。 |
竹芝さん |
はい!ありがとうございます!
これで自信を持ってお客様とお話ができそうです! |
豆大福先生 |
うんうん、よかったよかった。
さて、一件落着したところで、今日も大福を食べるとするかな…
涼子ちゃんも、一つどう?
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